母は強し

イスラム国にとらわれたジャーナリスト、後藤さん。無事に解放されることを願っていますし、既に殺害されたとされる湯川さんも、まだ本当に殺されたという確証がないわけですから無事でいてくれればと思います。

が、この事件で一番印象に残っているのは後藤さんのお母さんです。

あらゆるニュースを渉猟しているわけではないので、たまたま見た場面だけの印象ですが、後藤さんのお母さん、息子の生死が一刻の猶予もならない状況でよくもあれだけ気丈に振る舞えるものだと思います。立派です。とにかく息子を助けるためだったら何でもする、という気持ちで動いているのでしょう。

あたしはもちろん子供がいるわけではありませんから、あのお母さんの気持ちはわかりません。そこでわが家の母親に聞いてみましたが、わが母曰く、とてもあんな風には振る舞えない、という答え。少なくとも、これまでテレビの前で話すような立場にいたわけでもない一般の人が、いきなり多くの記者やカメラ、マイクに囲まれて、ドギマギせずにあれだけしっかり話せるものなのでしょうか? そして、子供の生死が風前の灯火のような状況で、人前に出ることができるのか?

うちの母親は、自分だったらノイローゼになって取り乱し、とても人前に出るなんてできないだろう、と言っています。うちの母がフツーなのか、それとも実際に自分の子供がああいう目に遭ったら、どんな親でも、特に母親ならこれくらいの行動力は自然と発揮できるものなのでしょうか?

不思議です。そしてすごいと思います。人間を動物にたとえるのは失礼かも知れませんが、かつてテレビで見たアフリカの野生動物を思い出します。子供を連れたメス親は普段だったら絶対に立ち向かわない天敵にも子供を守るためだったら身を捨てて立ち向かったのです。それが子を持つ親、人も動物も変わらないものなのでしょうか? もちろん記者やテレビカメラは天敵ではありませんが。