サイレント・ハウス

録っておいた「サイレント・ハウス」を鑑賞。

昔住んでいた屋敷が荒れ放題になっていたのを、少し手入れして売却しようと父とともにやってきたサラ。鼠に電気線をかじられて家の中は停電していて真っ暗。なおかつ、空き家になっている間に浮浪者が入り込んだらしくて窓はすべて割られてしまっているので応急措置としてベニヤ板を打ち付けてあるため外の明かりも入ってこないという古びた屋敷。何かしら起こりそうな気配は、これだけ舞台装置が整っていれば十分でしょう。なおかつ、街からは離れたところに立地しているため近所には家もなく、電話も繋がっておらず携帯電話も圏外。

さて父とその弟(ピーターおじさん)とともに部屋の片づけを行なっているサラですが、部屋の中に不審者がいるような気がして徐々に怯えていきます。頼りの父がいなくなり、と思ったら血まみれで倒れているのを発見。これは確実に不審者が屋敷の中にいると、暗闇の中を懐中電灯を頼りに逃げ惑い、なんとか外へ出ると、ちょっと出かけていたピーターおじさんが車で戻ってくるのに遭遇。街へ助けに呼びに行こうと言うサラを押しとどめ、父親(ピーターからすれば兄)をまずは助けに行こうと言うピーター。屋敷へ戻りピーターは中へ入るも、車の中で震えていたサラにまたしても怪しい人影が忍び寄り、サラも車から降りてピーターを追って再び屋敷の中へ。屋敷の中では、倒れているはずの父を見つけられず、ピーターも何者かに襲われ、ついにサラが不審者と対面……

というストーリーを書いてしまうと、まずは平凡ながら不審者、浮浪者が屋敷に住み着いていて、それが襲ってきたというストーリーが思い浮かびます。その不審者が殺人鬼的な存在なのかな(?)という雰囲気で前半は進みます。が、途中から小さい女の子が登場してきて、住み着いている浮浪者と言うよりも、この屋敷に取り憑いている悪霊の仕業かな、つまりはホラーものかと思わせて物語は進みます。

殺人鬼ものか、それともホラーものか、どちらかハッキリさせないまま、では真犯人は誰かと考えたときに、なんとなく胡散臭い父とおじさんの行動。古い写真を無理矢理ポケットの中に押し込んでサラには見せないようにします。うまいタイミングで襲われたように見せかけて姿を消す父、あるいはピーターおじさんを見ていると、どちらかが真犯人、あるいは共謀しているのかな、という気がしないでもないですが、娘を怖がらせて何が愉しいのか、という疑問が残ります。

で、ネタバレしちゃいますけど、オチはサラの二重人格です。幼少のころから父に虐待を受けていて、作品中でははっきりとは描かれていませんが(あたしが見落としただけ?)、たぶん性的な虐待も受けていたとおぼしきサラ。ピーターもその事実は知っていて、見て見ぬふりをしていたようです。父やおじさんに対する鬱屈した思いが別人格となってサラから抜け出し凶行に及んだというのが真相のようです。父とおじさんを始末して屋敷を後にするサラ。そこで映画は終わりますが、彼女はこの後どうなったのでしょう?

実は自分が犯人だったというのはミッキー・ロークの「エンゼル・ハート」を思い出させますね。

 

なお、本作は「SHOT/ショット」という作品のハリウッドリメイクらしいですが、オリジナルの「SHOT」は未見ですし、日本で公開されたのかも知りません。スカパー!やWOWOWでは放映されたのでしょうか?

で、二重人格ものであるとわかってしまうと、途中で出てくる女の子は小さいころの自分であり、襲ってくる怖い大人は父やおじさんのこと、地下室で誰かが住み着いていたような感じがあったのは、たぶんサラがあそこに監禁されていたことがあったのを示しているのではないでしょうか? もちろん写真はサラが虐待されている証拠となる写真です。娘を裸にして写真を撮っていたのか、このオヤジは……

最初のうちは、サラの元カレがストーカーになってしまっているのかな、と思わせるセリフもあり、元カレ=犯人=殺人鬼という線も考えましたが、あれは全くセリフだけのことで、伏線にはなっていたなかったようですね。