本はオシャレアイテムになるか?

待ち合わせの時間までちょっと時間があったのでデパートの店内をぶらり。昨今のデパートの1階はブランドショップと化粧品、ジュエリー売り場がほとんど。ブランドと言っても、若い女性向けのバッグや靴などのブランドがメインでしょうか? そんなデパートの売り場、先日のエルメス展の影響からか、なんとなくバッグを眺めていて思いました。

こういうバッグって、使い勝手といった観点からだと、たぶん女性にとっても、さほどよいものではないのではないでしょうか? それなのに、こんな高い値段でも売れるのはなぜか? それは、ブランドもののバッグを持っていることがステータスだから。

そうか、そうか。別に使い勝手が悪くたって、エルメスか、バーキンか、シャネルか知りませんが、そういった世界的ブランドのバッグを持っているところを見せびらかせたい、という心理なのでしょう。バッグに限らず、洋服や宝石でも似たようなところがありますが、バッグなどはその際たるものなのだと思います。

しかし、高級な、ブランドもののバッグを持っていると、そしてそれを見せびらかしていると、何がよいのでしょう? 本人にとってどういうメリットがあるのでしょうか? 自分へのご褒美ってことでしょうか?

それだけのバッグを買えるほど収入がある、つまりお金を持っているということを世間にアピールしたいのでしょうか? それとも高級バッグを持っていると当人が美しく見えるのでしょうか? 確かに、そういった効果は多少はあるかもしれませんが、逆効果も十二分に考えられます。

あるいは、いい人とか、やさしい人とか、そんな風に見られるのでしょうか? いや、バッグを持つだけでそんな風にはなりませんよね? むしろ、これ見よがしにブランドバッグを持っていたら高慢な人に見られるのではないでしょうか? そこまでとは言わずとも、高級バッグなどのブランド品に熱を上げている人って、それだけの収入を得ている人ならともかく、世間一般にはよいイメージを持たれているとは思えません。

うーん、やはりそういうことではなく、自分へのご褒美、ただそれだけなのでしょうか?

少なくとも、ブランドものを身につけたからと言って、知的に見えるということはあまりないですよね? 颯爽としたスーツをピシッと着こなしていたら知的に見えるかも知れませんが、一般にブランドものと知性とは相容れないもののような気がします。

で、思うのです。たまには、ブランドもののバッグではなく、本を小脇に抱えて街を歩いてみませんか、と。キンドルなどの電子書籍端末ではダメです、きちんとした紙の本でないと。もちろん、週刊誌などの雑誌もダメ、コミックなどもダメに決まっています。

やはり単行本です。ジャンルはなんでも構わないでしょう。海外小説でもいいし、哲学書でもいいし。そう、電車の中で英字新聞を読んでいたり、洋書を読みふけっていたりしたらカッコイイと見えるように、本を手に街を歩く姿がカッコいい、知的だと思われるようにならないでしょうか?

つまり、女子にとって、自分の価値を高める必須アイテムとして、ブランドの服やバッグ、宝石類などと並んで、書籍もそれに伍すような感じです。もちろん、男性でも同じことです。ブランドのスーツや靴、高級腕時計などを身につけるように、本を一冊携帯する、それができる男のダンディズム、なんていうのがスタンダードにならないでしょうか?

いや、その本はとりあえず持っているだけでもいいです、読んでいなくたっていいです。手元にあれば、いつか開くときが来ます。開きたくなる、読みたくなる日が来るはずです。それでよいと思います。

銀座松屋の一階に、バッグ、宝石、化粧品売り場と並んで、書籍のコーナーができないか? 新宿伊勢丹メンズ館に、オトコのための書籍売り場ができないか? そんなことを夢想します。