通過しそうな勢い

ふだん乗っている東京の大動脈、JR中央線。いま「大動脈」と書きましたが、恐らく山手線と双璧をなす、東京で最も大切な路線でしょう。基本的に10両編成で走っていて、あたしは通勤にはほぼ中程の車両に乗っています。ところが、このたび、たまたま前の方の車両に乗る機会がありました。

それがどうした、と言われそうですが、これはこれで新鮮な驚きでした。

何に驚いたのか。

それは駅に着くたびに感じました。

列車のスピードです。

いつも乗っている当たりの車両ですと、ホームに滑り込んだ時、いかにも駅に停まるな、というくらい減速しています。もう何年も毎日のようにその車両に乗り慣れているので、だいたい駅に着く時のスピードもわかっているつもりです。

ところが、前の方の車両ですと、駅のホームに滑り込んでいく時のスピードがかなり速いのです。「えっ、こんなスピードで入線して、停まれるの? もしかして、この駅、通過?」と思えるような速度でした。

まあ、考えてみますと、10両ある電車の前の方と中程では、駅のホームに入ってきた時のスピードが違うのは当然のことで、頭で考えればすぐに理解できることです。でも、やはりふだん乗り慣れてしまっていると、こういうとっさの時に、頭で考えるよりも先に体が感じてしまっていると、対応できないものです。

たぶん、こんどは電車の後ろの方に乗ったら、また違った感覚を味わえるのでしょう。