フランス文学の特徴でしょうか?

今年のノーベル文学賞作家モディアノの『ある青春』を読んでいます。先日『暗いブティック通り』を読んだので、。モディアノはこれで二作品目です。

 

モディアノがどういう作家なのか、フランス文学史上の位置づけとか、現在のフランス文壇での立ち位置とか、そういったことは知りませんが、読んでいると非常にパリの街と密接なつながりのある作家という気がします。何故かと言えば、パリの街並みの描写が非常に細かいからです。

あたしはパリには行ったことがありませんので、どんな感じの街なのかはテレビの映像や本に載っている写真で知る程度の知識しかありません。ですから地名を書かれても、それがどんなところなのか、まるで想像がつきません。パリは区によってかなり趣が異なるそうですが、そういう基礎的なパリ知識すら持ち合わせておりません。

そのくらいの知識でモディアノの作品を読んでいると、これでもかこれでもかと言うばかりに通りの名前、建物の名前が出てきて、それがどんなであるかの描写が続きます。飽き飽きするほどとは言いませんが、パリを知らない人間にそこまで細かく書かれても、ちょっと食傷気味になります。

が、よくよく考えてみますと、以前読んだゾラの『居酒屋』や『ナナ』も街の描写が非常に細かかったことを思い出します。

 

もしかして、フランス文学というのは、このように細かく街の様子などを描写するのが伝統なのでしょうか? いや、この程度の読書体験でフランス文学を語るな、と怒られそうですが、街の様子のみならず部屋の様子、調度類の意匠、登場人物の髪型や服装など実に細かく描写する作品が多いように感じます。

そう言えば、『危険な関係』は書簡体小説ですから街の様子の描写という面では控えめだった記憶がありますが、それ以外の描写は細かかった印象が残っていますね。うーん、やはり伝統でしょうか?

少なくとも、一部の作品については、パリという街と別ちがたく結びついていて、パリを知っている人間には実に楽しく読める作品が多いのではないかという気がします。フランス以外の海外文学って、ここまで描写が細かかったでしょうか?