鼻で愉しむ(?)展覧会

昨日の仕事帰り、上野の東京国立博物館で開催されている「エルメス レザー・フォーエバー」展を見に行ってきました。東博は何度も行っていますが、今回の会場である表慶館はまだ数回しか入ったことがありません。いかにも博物館といった本館、平成館とは異なり、エルメスの雰囲気を堪能するには表慶観の建物がふさわしかったと思います。このエルメスの展覧会、なんと無料です。ただし事前の準備が必要なので詳しくはエルメスのサイトをご覧ください。スマホかケータイを持っている人でないとダメのようですね。

さて、レザーの展覧会ですので、ひたすら皮、革、皮、革です。表慶館に一歩入った途端、レザーの匂いが立ちこめていて、好きな人にはたまらないのではないでしょうか? ケースに入っている展示物も多いですが、触ることができる展示品も多く、皮革製品の肌触りを十二分に楽しめます。

皮革製品ですから、やはりバッグがメインで、エルメスのバッグ、あたしは持っていませんし、持てるとも思いませんので詳しくはないですが、年月を経て風合いの増したものがいくつも並んでいました。会場は一般の美術品の展覧会に比べると若い女性が多い気がしました。皆さん、ブランドとしてのエルメスが大好きなのでしょうか? エルメスのショップでカバンを選んでいるかのように展示品に見入っていました。

小さいものから大きなものまで、実はもし自分がこれらのバッグを使うとすれば、という視点で眺めると、欲しくなるようなものは数点しかありませんでした。それ以外のほとんどのバッグは「使いにくいそう」とか、「大きさが中途半端」と感じたりして、「なんでこんなものがあんなに高いのだろう」と思わずにはいられませんでした。まあ、こちらがバッグと言うとどうしてもビジネス用途ばかりを考えてしまうから、そう思ってしまうのでしょうけど(汗)。

それともう一つ、バッグと並んでこの展覧会の柱は馬具です。エルメスがこれほど馬具を作っていたとは思いませんでした。カバンのイメージは多少はあったものの、馬具とは、あたしには意外でした。でも、革製品と言えば馬具だってかなりのもの。エルメスって、そもそもが馬具のメーカーから始まっているんですよね。そういう認識を新たにさせてくれる展覧会でもありました。

トータルで考えると、鼻で愉しみ、手で愉しむ展覧会でした。ふだんは目で愉しむ展覧会が多いですが、こういうのもいいものです。もちろん、目で愉しむ要素がなかったわけではありません。個々のバッグなどの意匠はやはり目で愉しむものでしょうし、展示の仕方も凝っていて、プロジェクションマッピングやライトの使い方など、小さい表慶館だからこそできる展示だったと思います。

そうそう、鼻と言えば、エルメスと言ったら香水、というイメージがぬぐいきれません。なにせ、あたしの勤務先から、エルメスの調香師の方の著作(翻訳ですが)を出しているくらいですから。

しかし、今回は香水の展示はありませんので悪しからず。