モスキートマン

FOXムービー プレミアム」で放送された「モスキートマン」を視聴。

見る前はホラー映画だろうと思っていたのですが、全然ホラーではなかったです。あえて言えば「ザ・フライ」のような、意図せずハエ人間になってしまった男の悲劇です。かつ「ザ・フライ」では、原因はみずからの過失でしたが、本作の場合、知らぬ間に実験台にされてハエ人間になってしまったわけですから、恨みと悲しみはさらに強くなっています。

おっと、こちらはハエではなく蚊でした、モスキートですから。

 

簡単にあらすじを書いておきますと、主人公のジムは原子力研究所で働く冴えない男性で、妻からも相手にされず、とうとう研究所をクビになります。仕事も失い、妻は同僚と浮気していることがわかり、すべてを失ったジムはフラフラと歩いているところを車に撥ねられそうになり、間一髪で助かったところを車の運転手デイブに励まされ一緒に酒を飲みに行きます。そこで酔いつぶれたジムはデイブによって、とある施設に運ばれます。そこはデイブの私設研究所で、昆虫学者のデイブは蚊を媒介とした伝染性ウイルスの予防薬の開発を行なっていて、ジムをその実験台にするのです。

まだ動物実験すらしていない新薬をジムに試したところ、ジムは発作を起こして死んでしまい、デイブはジムを街のゴミ箱に捨ててしまいます。が、ジムは死んでなく、蚊人間として生き返るのです。そして自分をこんなめに遭わせた研究所の所長や浮気相手の同僚、そして妻、デイブを血祭りに上げていきます。そして最後は、予想どおりの展開となります。途中、唯一やさしくしてくれた研究所の同僚エブリンと事に及んで、エンディングでは臨月に近いお腹を抱えたエブリンの姿で終わるなど、既視感ありありの展開です。

愛する女性を守りつつ復讐を遂げるモスキートマン。なかなか哀愁が漂う展開ですが、どこかで見たストーリーというのはB級映画ならではでしょうか? こんな映画をついつい見てしまったのは『モンスターズ 現代アメリカ傑作短篇集』の中の「モスマン」の影響でしょうか?

こちらも哀愁漂う佳作でしたが。

ちなみに、この映画の原題は「SUCKER」、「吸う人」という意味だそうですね。