さあ、仕事! 新潟から北陸へ

とうとう年末年始休みも終わりです。

いや、もうとっくに働いているよ、という書店員さんをはじめとしたサービス業従事者の声が聞こえてきますが、とりあえず、あたしは明日から仕事です。

仕事が楽しみということはありませんが、気持ちはもう既に出勤モードに入っているのか、今朝は4時すぎに目が覚めました。ふだん会社に行っている時に起きるような時刻です。明日からは仕事だと意識しただけで体は無条件に反応し、目覚ましなどかけなくともきちんと目が覚めてしまう……

単なる年のせいかもしれませんが、それはそれで哀しいものです。

夢も仕事の話でした。

よく事情はわかりませんが新潟へ出張へ出かけていました。向こうで何かの会でもあったのか、見知った出版社の人間も何人かいたような気がします。ただ、肝心の会だとか、書店営業のシーンは夢には全く出てきません。むしろ夢の中で出てきたのは暴力団的な人たちに襲われかかったシーンです。なんで堅気のあたしが暴力団に襲われるのか。夢の中では、あくまで夢の中の話ですが、数年前に廃業したある書店の廃業の裏には暴力団の暗躍があったという噂です。街の小さな書店の閉店に暴力団が絡んでいるというシチュエーション自体が既に支離滅裂な夢の夢たる所以です。

結局ほうほうの体で魔の手から逃れたあたしは新潟から北陸を営業回りしたようです。「したようです」と書いたのは、夢の中では富山、金沢、福井と経巡った感じなのですが、やはりここでも書店に行ったシーンが全く出てこないのです。でも夢の中のあたしは北陸を回って若狭湾沿いに西へ進み、そこから神戸に出たのです。

いや、敦賀とかそのあたりからなら神戸ではなく京都へ出るのが普通でしょ、京都は素通りしても大阪へ向かうでしょ、というのが一般常識でしょうが、なぜかあたしは夢の中では神戸へ向かう列車に乗っています。それも特急や急行ではなく快速です。夢の中では福井か敦賀あたりから、確か9駅か10駅停車しただけで三宮という、とても快速とは思えない快速に乗っていました。駅名は忘れましたが、車内にはっしっかりと停車駅の掲示があり、ご丁寧にもあたしは夢の中で三宮までの停車駅数を数えていましたから。

たぶん伏線になっているのは、数年前の人文会の研修旅行で山陰へ行った折、最後にあたしだけメンバーと別れ、出雲から陸路岡山経由で大阪へ向かったのですが、その時の岡山までのローカル特急の記憶だと思われます。ですから、今回の夢も福井か敦賀あたりから乗っているのですが、夢の中のあたしの意識としては舞鶴とか豊岡あたりから一気に南下して三宮へ向かっている感じなのです。上に10駅ほどでと書きましたが、所要時間も約1時間という、こちらも誠に快速らしくないスピードです。リニアモーターカーでも開通しないととても無理でしょうが、これも夢です。

さらにおかしいのは、夢の中であたしは確かにその快速に乗って三宮に向かっていたのですが、途中から車内のあたしの意識は空に舞い上がり、中空から自分の乗っている列車を眺めていました。ちょうどジオラマの中を走っているNゲージのようです。ただ、ジオラマなどというステキな風景があるわけではなく、消灯時間を過ぎた夜の病院の廊下のようなところにあたしが立っていて、その足下にNゲージのような列車があるのです。あたしがしゃがみ込んで目をこらすと、廊下にレールがうっすらと見えるくらいです。小さい子供がおもちゃの列車を自分で動かして遊ぶように、あたしはその列車を自分の手で押していきました。しばらく進むとレースはエレベーターの中に向かいました。

子供のように、そのまま列車を押しながらエレベーターに乗り込んだあたしは、なぜだか3階のボタンを押しました。そして誰かがエレベーターに乗ってきた時に、電車遊びをしていると思われるのが恥ずかしくて、Nゲージのような列車を慌ててカバンにしまったのでした。案の定、6階で人が乗ってきました。ちなみに、あたしが乗り込んでのは9階でした。6階であたしは思わずエレベーターを降りてしまいました。特に回数を見ていなかったので、てっきり3階に着いたと思ったのでした。その時、6階から乗り込んできた人が6階ですよと声をかけてくれたので、あたしは慌てて回れ右をしてエレベーターに戻りました。

6階で乗ってきた人、顔は見えないのですが、声はあたしの勤務先の人にそっくりでした。あたしは礼を言った後その人に、ここは三宮ですよねと話しかけました。その人は、はい、そうですよ、と答えてくれました。3階についてエレベーターを降りると三宮の駅近くの雑居ビル。駅から伸びるデッキがこのビルの3階で繋がっているのを知っていたので、あたしは3階で降りたわけです。予約していたホテルを探して駅前を歩いているところで目が覚めてしまいましたが、いったいどういう風にこの夢を解釈したらよいのか、まったく理解できません。