佳作か、駄作か?

雨ですね。台風です。明日の出勤が大丈夫なのか、いや、大変そうだったら休もうと思っています。昼過ぎには台風一過、天気も回復してくるのでしょうか? 午後から出社になるでしょうか? それはそれで面倒ですが……

さて、雨の日曜日。出かけるなんて馬鹿なことはせず、自宅で録りためた映画鑑賞です。まずはこちら。

ハル・ベリー主演の「ダーク・タイド」です。ジョーズの亜流と言ってしまったら身も蓋もありませんが、人喰いザメとの死闘を描いた作品です。ただ、この作品ではハル・ベリーは、仲間がかつてサメに襲われ死亡したトラウマで、サメに近づくのを避けるような生活をしていて、そこへ別居中の夫が金持ちのサメウォッチツアーを企画してやってくるという流れです。

確かに過去にとらわれて前を見ない生き方も問題ですが、この亭主のような金だけが目的で妻の気持ちに無頓着なふるまいもどうなのでしょう。亭主のセリフがすべて空々しく聞こえたのはあたしだけではないと思います。結局、ハル・ベリーは船を出し、嫌な金持ちはサメに食われ、夫は辛くも生き延びますが、仲間がやはりサメにやられます。

こう書くと人喰いザメ映画に聞こえますが、この映画、全編にわたってジョーズ的な人喰いザメは出てきません。そりゃサメが出ててき人を襲うのですが、それはあくまで人間がサメのテリトリーに入ってきたからであって、ジョーズ映画のように積極的にサメが人を襲いに来るという感じの映画ではありません。

というわけで、徹底的に怖がらせるサメ映画でもなければ、夫婦の和解を描いている映画でもない、という中途半端な感じを受けました。もちろんテーマとしては夫婦の和解と未来へ向かって再び歩き出す主人公なんでしょうけど、未来へ向かうまでの動機付け、亭主の振るまいがあまりにもひどいので、そういう映画としては見られませんでした。

次は邦画、「バイロケーション」です。

この作品はエンディングが異なる二つの作品があるのですね。一応、「表」と「裏」と呼ばれているようです。エンディングが異なると言っても、「表」の最後に数分間の続きというか、ドンデン返し的なシーンを加えているだけなので、ほぼ1時間45分ほどは全く同じ映像です。

で、ストーリーは、バイロケーションと呼ばれる「もう一人の自分」との対決です。心の中に大きな葛藤を抱えると、そのためにもう一人の自分が生まれてしまうのだそうで、それが自分の一番大切なものを奪いに来るのです。主人公の水川あさみの場合、途中で気づいてしまう人もいるかもしれませんが(怪しいアジトのようなところのカーテンの色とか)、終盤まではどっちが本人で、どっちがバイロケなのかわかりにくく、いや、そうではなく、最終局面で、実はこれまでの多くのシーンで本物とバイロケがそれぞれ出てきていたということになっています。

バイロケを倒す方法はどうやら決定打はなく、少なくとも本人が死ねばバイロケは消えるようです。水川あさみ以外の登場人物たちも、ほとんどがこの運命をたどります。そして、自分がどちらだったのかわからなくなってきた水川あさみが最後に下した決断は自殺でした。そして、その結果として水川あさみのバイロケも消えて、ジ・エンド。

これが「表」バージョン。「裏」バージョンでは、水川あさみ演じる主人公の本物が自殺するまでは同じなのですがバイロケは消えません。その種明かしとして、バイロケのお腹に夫との子供が宿っているから、と解釈できるような映像が追加されています。そうです。「裏」では、本物が死に、バイロケが本物として新しい人生を生きていくというストーリーになっているのです。

どっちがよいか、好みが分かれるところでしょうか? ネットでは両バージョンへの感想も含め、この映画の評価、かなり割れていますね。あたしは割とよくできた映画だと思いましたが、やはりホラーっぽさを追究するなら「表」の方がよかったかな、と思います。