暮れらしい?

年末だからといって、特にいつもと変わった過ごし方をするわけでもなく、ふだんの休日とあまり変わりません。あえて違いを言えば、土日二日間よりも休日が格段に長いということくらいでしょうか。そんな大晦日、少し前にスカパー!でやっていた映画を録っておいたので視ました。

 

往年の名作アニメ、ヤマトです。最後の作品では沖田艦長も復活し、地球を水没から守るためにヤマトは自爆して地球を救ったというラストでした。それから十数年後の設定というのが今回の復活篇です。ネットの情報によると、この復活篇は三部作になっていて、現時点では第一部のみが製作、公開されています。既に公開から数年たっていますが、キムタク主演の実写版、オリジナルのリメイク版など、このところヤマトが再び盛り上がっている(?)のでスカパー!でも放送されたのでしょう。これ以外にもオリジナルのテレビ版ヤマトもスカパー!で放送されています。

さてこの復活篇。オリジナル版とディレクターズカット版の二種類があり、そのどちらもが放送されました。この二つ何が違うのかって、結末が違うのです。三部作の第一部なのに結末が違っては第二部はどうなるのでしょう、という疑問も沸きますが、これまたネット情報によると、最初に公開した時にこの両者を流し、ファンの人にどちらを採用するか投票してもらったそうです。それで決まったのが通常版で、ボツになったのがディレクターズカット版だそうです。

ストーリーの基本は同じです。宇宙の彼方に移動型のブラックホールが出現し太陽系に向かっている、このままでは地球は飲み込まれてしまう。科学者がいろいろな方法を考えたがどれも技術的に困難で、結局、別の惑星へ移住するという選択をした地球人。その移民船団が移送の途中に何者かに襲われ、極秘裏に建造が進められていたヤマトに古代進が艦長として乗り込み、敵と戦いながら移民船団を守るというストーリーです。

敵の正体は、意味先の惑星近辺の宇宙国家連合。地球人の移民を侵略と思い込んで攻撃してきたわけですが、国家連合の盟主的な国が邪悪な心の持ち主で他の国家にこれは地球人の侵略だと信じ込ませていたというわけで、この邪悪な国家にヤマトは闘いを挑みます。で、ここからがオチになるのですが、先に述べた移動型ブラックホールは、実は生命体のようなもので、邪悪な国家(劇中ではSUSとアルファベットで呼ばれています)に操られている模様。そのSUSも別次元の世界からこの世界に入り込んできた生命体で、ヤマトに敗れ、ひとまずは自分たちの次元へ戻っただけです。

オリジナル版では、ブラックホールが敵の操るものだとわかったので、ブラックホールの中心付近に力の切れ目のようなものを発見し、そこへ波動を打ち込んでブラックホールを消滅させて地球を救う、という結末です。この闘いの中でヤマトのデータ解析担当女性クルーが死んでしまいます。ディレクターズカット版は、そういったブラックホールの正体には触れられず、地球はそのまま飲み込まれて終わりです。ヤマトのクルーは誰も死にません。いかにも、まだ続きますというエンディングです。

通常版とディレクターズカット版は、その他にも細かなシーンでいろいろ違いがあるようですが、ストーリー全体に影響するほどのことではありません。まあ、ファンの人が地球が亡びないバージョンを選択したのは納得できますが、地球が飲み込まれても、飲み込まれた先の世界へヤマトも向かい、敵を倒して地球を取り戻すというストーリーを制作者側は考えていたのかもしれません。

あたし自身は、両方を視て、松本零士ではない絵のタッチに馴染めず、そのくせ登場人物の描き方は、特に女性などは松本零士的で違和感がぬぐえませんでした。ストーリーも石原慎太郎が原案とありますが、何を描きたいのか理解不能です。もうあのじいさんはボケていますね。(まあ、これまでのヤマトも作品を続けるための強引な設定でしたけど)

最大の謎というか不可解は、古代と結婚した森雪が最初の方で行方不明になります。死んだのかどうか定かではありません。たぶんこの三部作は新たな敵との戦いの他に、いなくなった森雪を探すというのも大きな柱になると予想させる出だしです。ところが三部作の第一作だからなのか、その後森雪の行方のヒントになるようなシーンは一切ありません。結局、森雪はどうなっちゃったの、というフラストレーションが残ったまま終わります。敵が異次元の生物ということで、戦闘の際に何かの弾みであちらの次元に転送されてしまったのではないか、それをヤマトが、古代が救出に行くという展開が予想されますが(勝手に予想したのですが)、ストーリー上はそのヒントすら見えません。

森雪はどこへ行ってしまったのでしょうか?