このタイミングで

既に業界を騒がせている、取次大手トーハンによるブックファーストの子会社化のニュース

このところ、業界全体としてよいニュースが飛び込んでこないことが常態化していますが、このニュースはかなりの衝撃波です。多くの人が寝耳に水だったようです。

子会社化がどうの、といった論評はさておき、これがもっと大きな業界の、大きな買収話であれば、テレビや新聞でも取り上げられるのでしょうけど、斜陽と言われて久しい出版業界のささやかな話題ですから、一般の新聞ではまず載っている方が珍しい、おかしいという感じでしょうか。こんなところにも業界の現状の厳しさがわかります。業界内では話題沸騰でも、結局は小さな小さな鍋の中のことでしかなく、鍋の外の広い世界から見れば、鍋の中が沸騰していよう冷めていようが、どうでもよいことなんですよね。もっと大きな鍋がいくらでもあるわけですから。

とはいえ、やはり業界にいる人間としては大きなニュースであることには変わりありません。この業界は印刷、製本などとも繋がっていますが、流通の大きな流れで言えば出版社、取次、書店という構造です。それなのに取次が書店を買収してしまうと言うのは、公正取引上の問題はないのでしょうか? もちろん書店は他にもまだまだたくさんありますけれど、他の書店から見たら不公平感って抱かれないのでしょうか?

もちろん、こういうニュースが入ってきたからといって、ブックファーストの店舗ががらりと変わるわけではないでしょうし、出版社としても特に特別な対応や対策を取るということもなく、当面はこれまでどおりに過ぎていくのでしょうが……