昨日の、紀伊國屋書店新宿本店での古屋美登里さんと岸本佐知子さんのトークイベント。トークのテーマは『モンスターズ』でした。
さて、この本に出てくるモンスターたちは、実際のモンスターは実は少数派で、ほとんどの作品にモンスターは出てきません。むしろ、モンスターに見えてしまう、モンスターだと思い込んでしまう、といった側面のあるストーリーばかりです。そういう意味では、萩尾望都「イグアナの娘」なんていう作品をイメージしてもらえるとよいのかもしれません。
そういう、心理学的な深読みも出来る作品だと思います。ところで、ちょっとずれてしまいますが、この本の主役はモンスターです。日本ですと、ホラーと言えば、こういったモンスターが登場するものだけでなく、特に映画では顕著かもしれませんが、「ジョーズ」などの動物パニックもの、「オーメン」や「サスペリア」などの悪魔が登場するものも、広くホラーとして許容されているような気がします。
もちろん、細かく分ければできますが、日本では意外とそのあたりがルーズかなという気がするのですが、アメリカではどうなのでしょうか? 本書には、モンスターは出てきますが、悪魔は出てきません。フランケンシュタインやドラキュラ、ゴジラまで出てくるというのに、悪魔は出てきません。アメリカではモンスターとデーモンは、日本以上に峻別されているのでしょうか? やはりキリスト教圏だからでしょうか?
もちろん、本書が「モンスターズ」ではなく、「ホラー作品集」だったら、デーモンも登場したのでしょうか。それもよくわかりません。あたしにはちょっと理解できない、想像できない感覚です。もちろん、モンスターとデーモンが異なることは理解していますが。日本で言う、怨霊や幽霊とお化けの違いでしょうか? 前者は人間が変わったもの、後者は人間とは関わりないものという認識を持っています。でも、日本でも、お化けの範疇に幽霊なんかが入ってくることはありますよね。妖怪だってお化けだし、お岩さんをお化けと言ったりするし……
微妙ですね。ただ、少なくともキリスト教圏では、悪魔とは神に対峙するものですから、独特の地位を持っているのだと思います。