アマゾンが出版社を格付けしている件

今朝の朝日新聞の一面に、こんなニュースが載っていました。

<アマゾン、出版社を「格付け」>なんて、かなりショッキングな見出しです。

内容については紙面を読んでいただくとして、あたしの最初の感想は、「確かにやっているよね」というもの。次いで、「ひどいことするなあ」というものでした。

ただ、アマゾンから見た場合、きちんと対価を払ってくれている取引先を優先するのは当然のこと。なんらやましいところはないのでしょう。

しかし、何でもお金なの? お金がすべてなんですか? という青臭いセリフを吐きたくもなります(汗)。

出版社の意見はいろいろあるとして、書店の側の意見はどうなのでしょう? と考えてみました。

アマゾンで、優先的に書籍を上位に表示するというのは、考えてみれば、書店の店頭の一番目立つところに自社の本を並べてもらうことと言えます。目立つところに目立つように置いてもらうため、出版社の営業は日々書店に通っては、売り場の担当の方にあれこれアピールしてその場所を確保しようと躍起になっているわけです。

アマゾンの場合、売り場というのがバーチャル空間ですから、そこへ営業へ行くこともできず、それなら手っ取り早く「お金で」ということになるのでしょうか。理屈の上では納得できるのですが……

再び書店の場合を考えてみます。

どの本をどこへ並べるかは書店の方の裁量の範囲内ですから、自分の気に入った本を目立つところに置こうとするでしょう。その「気に入った」というのは、どうやって選んでいるのか、です。

もちろん読んで感動したから、という理由なんだと思いますが、時には装丁がカッコいい、オビなどの惹句に引かれて、というのもあるかと思います。ここまでなら、まだ本訴のものを前提にして、という理屈が成り立っていると思います。

しかし、「大量に入荷したから」とか、「本部からの指示で」といった理由で並べられている本もあるかと思います。こうなると、たぶん書店と出版社の力関係になってきます。「この本を目立つところに並べておかないと、来月の人気コミックが入ってこないかも知れない」といったバーターが幅をきかせているとは思いたくありませんが、書店側にそういう思惑がないとは限りませんし、出版社側もそれを狙っていないとも限りません。

そのあたりのさじ加減、外からはうかがい知ることができません。「某々さんが薦めてくれたから、ちょっと頑張ってみようと思って」という書店員さんの言葉はよく耳にします。あの人がいいと言うのだから、という何とも数値化できない物差しがあるわけです。

それに比べると、アマゾンが打ち出している「お金で解決」的な方法は非常にすっきりしています。考えてみますと、上記のような数値化できないところ、アメリカが最も嫌いそうなポイントですよね。きちんと説明できないから、そこに数値的な、客観的な裏付けがないから、というのはアメリカ企業の感覚では不正、不公平の温床に見えるのではないでしょうか?

大手出版社は反発していると書いてありますが、もし業界を挙げて問題提起するのであれば、どこぞの出版社がやったような「アマゾンには出荷しない」という運動を、大手出版社が率先してやるしかないのではないか、そんな気もします。

ただ、この程度のことでは、アマゾンで買えないから近所の本屋で買おう、という流れを作るのは難しいでしょう。今回の記事とは別の問題ではありますが、街の本屋のことを考えると、本屋だけではなく、地方の都市の活性化を真面目に考えないとならないのでしょうね。