夏と言えばホラーです

夏と言えば怪談、でしょう。スカパー!の各チャンネルでも探してみると映画チャンネルを中心にいろいろやっているようです。で、二本、見ました。まずはこちら。

トイレの花子さん 新劇場版」です。このシリーズは過去のものも見たことがあるような気がしますが、とりあえず本作は初めてです。

ストーリーは、まあ子供向けのライトなホラーですね。多少グロいシーンはありますが、ストーリーとしてはそれほど怖くないです。ネタバレ的に書いてしまうと、花子さんが主人公と異父姉妹、母親がかつて結婚できなかった(とおぼしき)男性との間に産んだ子供で、花子さんが生まれたために男性に捨てられたため、戸籍にも登録されず学校にも通っていない子供として花子さんは描かれています。現代で言えば家庭内暴力の犠牲ですね。結局、主人公の父となる男性と巡り会った母親が過去の男性との子である花子さんが邪魔になり殺してしまった、というのが花子さん出現の遠因のようです。

ということで、いろいろ恨みを抱いて死んでいったとおぼしき花子さんですが、小学校低学年くらいで殺されていますから、果たして怨念などを抱けるほど社会を認知できていたでしょうか? ちょっとそこが疑問です。それに、だったら母親と異父妹である主人公を恨み殺すべきであって、学校内でイジメはあったにせよ、学校の生徒を殺すというのがわかりません。殺した相手も中途半端ですし。

そもそもトイレの花子さんと言いますが、それは学校にも行かせてもらえなかった花子さんが、学校のトイレに忍び込んでは遊んでいたから愛着があったということなのでしょうけど、前半では花子さんがトイレで死んだ(殺された?)っぽいストーリー展開に感じられます。それならトイレの花子さんの意味もわかるのですが、どうやら自宅で殺されているみたいですし、遺体はどう処分されたのか、最後までわかりません。子供向けのホラーとはいえ、もう少し辻褄が合うようにしてくれないと怖くは感じないですね。

さて続いてはこちらです。

トリハダ 劇場版」です。こちはホラーと言っても、音量が出てくるとか、グロテスクな映像描写があるとか、そういうことはありません。むしろ、日常の中のちょっとした出来事からジワジワくる恐怖を描いています。どの話も実際にありそうで、そして誰もが犯してしまいそうで、それだけに怖い話ばかりでした。

話の中では、まずは「見えざるものの中にある真理」という、トランクルームを借りている女性の話。おとなしそうな女の子の一瞬の狂気、そしてトランクルームに隠された恐ろしい実態。本当に怖いです。カリバニズム的な内容の「理想と現実の相違から訪れる闇」は、ある意味、正統派のホラーだと思えます。それにしても見知らぬ人の料理を受け取ってしまう主人公、あまりにも脳天気というか単純すぎます。現実には一番ありえない展開だったと思います。

そして、個人的に一番怖いと思ったのは見えないストーカーに狙われる「自身に降りかかった悪夢と結末の相違」です。毎日通勤の上着のポケットに丸められた紙切れが入っていて、そこには数字が書かれていて、30からカウントダウンが始まります。1と書かれた紙が玄関の中に置かれていて、怖さを感じた主人公は同僚に付き添ってもらい帰宅します。その時、郵便ポストを開けた同僚の額に矢がズバッと刺さり同僚は死亡します。病院で泣きじゃくる同僚の両親を尻目に主人公はニンマリ。

さて、このラストの解釈です。同僚が犯人だと思った主人公がやられる前にやり返したのか? それはちょっと違うかな、だってポケットに数字が書かれたメモが入れられているタイミングと同僚と一緒の時間が合いません。

では、自分の代わりに犠牲になってくれたから、これで自分がストーカーに悩まされることはないとホッとした笑顔なのか? この可能性がなくはないのですが、あたしはこの説は採りません。

あたしの解釈では、自作自演であることは間違いないと思います。そして不安におびえる自分を同僚が心配してくれるのも計算どおり。うまいこと自分のアパートまで誘い、ポストを覗かせる。そこには矢が仕掛けてあり、蓋を開けたらズドンです。あたしはこのように解釈しました。ただ、この説の難点は、なぜ主人公がここまで同僚を憎んでいたのか、その理由が描かれていないことです。男を巡るトラブルとか、職場での諍いとか、何かしら伏線があってもよかったと思うのですが、それはわかりませんでした。

それにしても、怨霊やゾンビよりも、やはり生きている人間が一番怖いですね。なお、今回見たのは第一作で、近々第二作が公開になるようです。