積み重ねと言われても……

ちくま新書『男子の貞操』を読んでいます。

サブタイトルに「僕らの性は、僕らが語る」とありますが、性生活に至るまでに、まずは会社とか学校とか地域社会と言った、社会的ネットワークに属し、そこでしっかりとした関係性を構築することが最初の一歩と書かれています。「絆」という言い方もしていますが、他人とそういう関係を築けることが、異性と同じような信頼関係を築く基礎であり、そこから積み重ねて初めて性生活に達することができるのだと書かれています。

 

そもそも、なぜ性風俗に通う男性が、素人性や処女性、店外デートといった、「サービスだと感じられないようなサービス」という矛盾したことを求めてやまないのかというと、その背景には、プライベートでの人間関係の貧しさがあります。人間関係を築く動機もスキルもなく、家庭や地域、学校や職場といった社会的ネットワークの中で孤立しているがゆえに、人間関係をお金で売り買いするしかない。彼らもまた、「分かりにくい弱者」です。(同書P.183)

 

現状では、そもそも「お金で売り買いする」ほどのお金も持っていないので、悶々と過ごすしかないわけですが(汗)、あたしとして知りたいのは、どうやったら「人間関係を築けるのか」ということです。本書でも、自分本位ではなく相手目線に立って、と言ったことが書かれています。「人から好かれるノウハウ」本、「他人に嫌われないためのノウハウ」本にも似たようなことが書いてあります。でも、その具体的な方法って何なのでしょう?

相手目線って、どうやったらわかるのでしょう? 相手の気持ちになって、というのもどうやったらなれるのでしょう?

あたしみたいに子供のころからクラスの中で、どちらかというと嫌われてきた人間にはわかりません。他人と比べて取り立てて嫌なことをしていたとは思えません。嫌われるようなことを意識的にしていたわけでもありません。あたしはごくごく普通に振る舞ってきたつもりです。

それでも好かれない、むしろ嫌われる。

存在していること、それ自体が他人に嫌悪感を催させるのでしょうか? 何をしても、他人に嫌な思いを与えしまうのでしょうか?

そんな風に生きてきた身としては、どうしたらよいのかわかりません。

相手との信頼関係? そんなの夢のまた夢です。