よくよく考えると恐ろしい

あまり期待せずに見始めたホラーです。

キャビン」、原題は「CABIN IN THE WOODS」、「森の中の小屋」といったところでしょうか。見た感じでは「死霊のはらわた」の舞台となった小屋とよく似ています。たぶん、あえて似せて作っているのではないでしょうか。

ストーリーは、よくある若者数名が休暇を利用して森の中の別荘を訪れ、一人また一人と惨殺されていくというありがちなものです。ところが本作の場合、ところどころ、と言うかオープニングから科学者たちがどこぞの研究所で何やらプロジェクトを行なっているシーンが挟み込まれます。すぐにわかってしまうのですが、この5名の若者はあらかじめ選ばれ、この小屋に来るべくしてやってきた5人で、素之もような逐一、監視カメラで科学者たちが監視しているという寸法です。カメラアングルから相当な数の隠しカメラが設置していると思われますし、フェロモンガスを噴射したり、スイッチなどを操作したり、小屋だけでなく、周囲の森も含めて、辺り一帯が最新科学で管理された空間になっているのです。もちろん5人はそんなことは知らずにバカンスを楽しもうというだけです。

ところが小屋の地下室で怪しい日記を見つけてしまい、底に書いてあるラテン語の呪文を唱えると森の中でゾンビが復活するというからくり。このあたり、どんなキーアイテムを洗濯すればどんな化け物が出てくるかが決まっているらしく、研究所の科学者たちはそれを賭けにして愉しんでいます。

さて、復活したゾンビが若者たちを襲いだし、次々に殺されていきますが、予想どおり主人公のオクテの女の子と、ちょっと間抜けな男子が生き残り、この森からの脱出を試みます。途中、男の子の方が、自分たちが何者かによって監視されていて、小屋や森の中にハイテク機器が張り巡らされていることを突き止めます。ただ、この時点では、実際の殺戮シーンをネットでライブ中継してユーザーを楽しませる番組なのかな、という程度の種明かしに留まっています。そして、二人は小屋と森の地下に作られた巨大な研究施設の中に潜り込みます。科学者側はからくりがバレてしまった以上二人を抹殺しようと銃を持った武装隊を送り込みますが、ゾンビを初めとする怪物たち閉じ込めていたドアを開けるスイッチを押されてしまい、研究所の中に解き放たれた怪物立ちは次々に科学者を血祭りに上げていきます。

そんな殺戮を尻目に、なんとか逃げられたかと思った矢先、この研究所のボスである女館長、これがなんとシガニー・ウィーパー、最後の最後だけの出演ですが、これが狂ってます。生け贄を捧げないと太古の邪悪な神が復活し全人類を滅亡に導くというのです。そのために二人を殺そうとした寸前、ゾンビが彼女の頭に斧を振り下ろし、シガニーはあえなく絶命、ゾンビもろとも奈落へ落ちていきます。これでようやく生き延びた二人ですが、もう体は傷だらけで立つ気力もなく、神が復活したからなのか、地下の研究施設が崩れる中でエンディングです。たぶん瓦礫に潰されて死んだのではないでしょうか?

さて、この映画、最後に「えーっ、なに、そのオチは!」という思いはあります。人類滅亡を信じるおばさんが作った研究施設のようですが、ものすごい大がかりです。世界各地に同じような施設があり、世界各地で生け贄を捧げようとしているようですが、もちろん日本も舞台となっています。仲間の研究チームが京都で同じようなことやっているようです。時々映像が出てきますが、貞子っぽいのが出てきます。

と言うように、この映画は先行するいろいろな映画のさまざまなところを取ってきてつなぎ合わせています。後半の怪物大乱闘のシーンも、よく見るとほとんどが他の映画に出てきたキャラです。これは怖いと思って見るのではなく、パロディだと思って笑いながら観るべき映画なのでしょうか? しかし、最後に人類滅亡とか言い出したからおかしなことになりましたが、もしこれがネットの殺人リアル中継サイトという設定であったら、実際にありそうで非常に怖い映画ではないでしょうか? 特に前半、科学者たちがゲーム感覚で、実際に若者が殺されていくのをなんとも思わずモニター越しで見ているのは戦慄を覚えます。