礼讃

本日見本出しの新刊『読書礼讃』はアルベルト・マングェルの著作です。

彼の書籍は既に白水社からは『図書館 愛書家の楽園』と『奇想の美術館』の二点を出していて、これが三点目になります。

 

また柏書房からは『読書の歴史』も出ています。

これらのタイトルからも、もっぱら本にまつわるあれやこれやを精力的に書いている方だということがわかります。

それはともかく、今回の新刊のタイトル、さすがに「らいさん」は読めますよね? 白水社には今回の本以外にも『個の礼讃』『日常礼讃』といった本があるので書店から注文の電話がかかってくることがあります。そういうときに「れいさん」と読む人がいらっしゃるのです。

 

これくらいルビが振っていなくても読めて当たり前の単語なのか、底まで求めるのは酷なのか、どうなのでしょう? 一般日本人にアンケートをしたら何割くらいの人がきちんと読めるのでしょうか? という思いもありますが、やはり書店員ならこれくらいは読めて欲しいという気持ちもあります。

「礼」を「らい」と読むのは中国古典をやっている人ならしばしば見かけるはずです。有名な『礼記』は「らいき」と読みますし、その他にも『周礼』は「しゅらい」、『儀礼』は「ぎれい」ではなく「ぎらい」と読み、この三つの古典を総称して「三礼=さんらい」と呼びます。『周礼』など「しゅうれい」ではなく、「しゅうらい」でもなく、「しゅらい」と読むわけですから、このあたりは専門家以外には読めなくても仕方ないところでしょう。ただ、中国古典をやっている人は、このような古典の名称を日常的に目にするので、「礼讃」を「らいさん」と読める確率が高いだろうなあとは思います。

ところで、この礼讃、いま「礼讃」と書きましたが、他社の本などでは「礼賛」という表記も散見されますね。「讃」なのか、「賛」なのか、ということです。これは通用する文字ですが、「讃」は常用漢字ではないのでしょうか? だから「讃」を避けて「賛」と書くようになったのではないでしょうか? 現代日本語ではどちらでもよいみたいですが、そうなると後は文字面、見た目の問題でしょうか? やはりなんか「ごんべん」が付いている方が格好良く見えるのはあたしだけでしょうか?