怨念は海を越え……

スターチャンネルで「呪怨」シリーズのハリウッドリメイク三作が放送されていました。

 

確か「パート1」「パート2」は観たことがあったような記憶があるので、視聴したのは未見とはっきりしている「パート3」です。

この「呪怨」シリーズ、基本はある男性が妻と子供を惨殺して自分も自殺した、その凄惨な事件が起きた家に彼らの怨霊が取り憑き、そこを訪れた者たちにさらに取り憑いて死に至らしめるというストーリーです。それが海を越えてアメリカにまで行ってしまうわけですね。まあ、日本の悪霊というのは場所に取り憑く場合もありますが、たいていは人に取り憑くもので、一度取り憑かれたらどこまで逃げても追ってくる怖い存在で、そのあたりの怖さがアメリカ版でどこまで出せているのか……

パート2がうろ覚えなのですが、日本から渡ってきた怨霊が、シカゴのアパートに住む一家を死に至らしめてしまったというところから、このパート3はスタートです。まずは一家の生き残りの少年が収容された病院で殺されます。もちろん怨霊によって。初めは精神疾患だと思い込んでいた少年の主治医も、悪霊の存在に気づき始めたところで同様に殺されます。

そしてところ変わって日本。そもそもの発端となった事件の被害者・伽耶子には妹がいて、その妹が悪夢に悩まされ、シカゴの事件を知って海を渡ります。イタコの血を引く自分がなんとかしなければ、という使命感なのでしょう。個人的には彼女が準主役的な活躍をして怨霊を鎮めるのを期待しましたが、活躍するのはほんの一部、それも活躍と呼ぶにはあまりにもショボいです。

本作の主人公は、問題のシカゴのアパートの管理人をしている三兄弟です。一番上の兄が管理人で、妹は恋人と近々ニューヨークへ旅立つ準備中。一番下の妹は喘息持ちで体が弱く、まだ小学生です。こんな事件があったのでは住む人もいない、つまり家賃収入も望めないアパートとなってしまい、オーナーから解雇を言い渡される兄。少々イラついています。喘息の末の妹を抱え、仕事もなくし、上の妹がニューヨークへ行ってしまったら、どうやって生活していくのかと悩んでいるようです。

そんな3人にも悪霊の手が伸びてきて……

さて、個人的に悪霊が取り憑くという話は好きです。いかにも日本的で、おどろおどろしいので大好物です。ただ、人に取り憑くからこそ、むやみやたら、誰にでも取り憑くことに違和感を感じるのも事実です。徹底的に特定の人に取り憑かないとダメでしょ、という気がします。そして立ち向かう伽耶子の妹役の日本人。加山雄三の娘さんらしいですが、日本の映画やドラマではほとんど見たことがないですね。

彼女の活躍がショボいと書きましたが、主人公があくまでアパート管理人の兄妹なわけですから、彼女が大活躍しなくても構いませんが、主人公兄妹が悪霊に立ち向かうためのキーになる人ではあるので、もう少し見せ場があってもよかったのではないか、あまりにもあっさりと悪霊に殺されてしまうとは。それでも、悪霊を封じるヒントは与えているわけですが。

結局、妹二人は助かるわけですが、最後の最後、やはり呪いは続く的なエンディング。どこへ逃げてもついてくるのですね。まだまだ続編が作られるのでしょうか?