おお、キトラ!

休みの日はたいてい自宅に引き籠もっているあたしが、今日は珍しく外出。まずは午前中に三菱一号館美術館で行なわれている「ザ・ビューティフル」展を見に行きました。そこそこ混んでいましたが、展示を見るのに苦労するほどではありませんでした。

あたしなりの理解ですと、身の回りの調度品を美しいもので揃えたいという欲求があり、それに凝り出すと、こんどはそれらを収納する家具などにもこだわりが出てくる。するとこんどは、家具などを置く部屋の内装にも美しさを求めたい、そして内装がきれいになったならそれにふさわしい外観を整えたい、という感じで発展してきたのではないかな(?)と展示を見ていて感じました。

今回の展示作品よりも100年ほど昔になるのでしょうか? ジェイン・オースティンの時代は、貴族の郊外の別荘を見て歩くことが流行していたようですが、それは庭園の美しさが主だったような記憶があります。でも、そういった流れを受けての、今回の展覧会に繋がる伝統なのではないでしょうか? と勝手な解釈ですが……

展覧会の見どころページに載っていますが、個人的には、まずは「フレデリック・レイトン《 母と子(さくらんぼ)》」の女の子がカワイイです。思わず抱きしめたくなりました。そして、今回、この展覧会を見に行こうと決めた最大のポイントであるビアズリーのサロメ。これも小品ながら素晴らしいですね。見入ってしまいました。

またエルキントン社のティーセットは同じ意匠の大きさ違いのものが展示されていたのですが、ロシアのマトリョーシカのようでしたが、あたしは見た瞬間に『第三の警官』に出てきた、箱の中にちょっと小さい同じ函、さらにその中にまたちょっと小さい箱というように、どんどん小さくなって、肉眼では見ることができないほど極小の箱にまで行き着く場面を思い出しました。

その他、気になった作品では、シメオン・ソロモン「パリサイ人の家にいるマグダラのマリア」はちょっとかわいい感じ。アルフレッデオ・ギルバート「武装するペルセウス」は武装と言っても、兜をかぶり剣を持っている以外は真っ裸じゃない、どこが武装なの、と突っ込みを入れたくなります。そして、そして、今回の展覧会のイメージともなっているアルバート・ムーアの作品は「真夏」というタイトルなんですね。真夏と言えば、あたしには秋元真夏しかありません(爆)。乃木坂です。

さて、「ザ・ビューティフル」の後は上野へ移動。キトラ古墳です。

混んでいるだろうとは予想していましたが、まあ、あの程度で済んでよかったです。意外と並んでいる時間は長くは感じませんでした。連れがいたからでしょうか? 最初に大きな複製の壁画が並んでいるのですが、これはまあ本番で見るための肩慣らしならぬ、目慣らし。ふむふむ、こういういものかと思いつつ、本物の壁画へ。

いや、これは見るべきですね。ソース煎餅みたい、といっては壁画に失礼ですが、見てくれはそんな感じなのですが、そこに描かれている四神は素晴らしいです。こちらも見入ってしまいますが、混雑のため立ち止まらないでくださいと係員に誘導され、泣く泣く順路を進むしかありません。もうちょっと、あと10秒でもいいから見ていたかったです。それくらい一件の価値あるものでした。しかし、この壁画をこの状態で保存するのは並大抵のことではないだろうなあということもわかります。日本の技術をもってしても大変なのでしょうね。政府はこういうことにももっとお金をかけて欲しいものです。

さて、その後、再びの風神・雷神です。前回は金曜夕刻のナイト・ミュージアムでしたのでそれほどの混雑ではありませんでしたが、今回はやはり日曜日の昼間、前回よりもかなり混んでいます。キトラを諦めた人がこちらへ流れているのでしょうか? キトラは入場前に列を作って小一時間ほど並びますし、その後会場内も行列ができていましたが、「栄西と建仁寺」展は入場制限もありませんでしたから。

それでも、風神・雷神は存在感ありますね。前回見たときは、もう少し大きいものを想像していたのですが、案外小振りの屏風です。それでもあの存在感ですから、すごいです。