文盲

文盲と言っても、アゴタ・クリストフの自伝の『文盲』のことではありません。

いまテレビで人気の「花子とアン」で、花子のお母さんが読み書きができないということです。少し前にFacebookにも書きましたが、あたしの勤務先から出ている『野口英世の母シカ』のシカさんも読み書きができないのですよね。そのシカさんが一生懸命に文字を習い息子へ書いた手紙が、<野口英世の母の手紙>として有名になっているわけです。まあ、この時代の農家の女子の教養としては読み書きができないというのも決して不思議なことではなく、当たり前と言っては言いすぎかもしれませんが、ごくごくありふれたものだったのでしょう。

で、ふと思い立って、あたしも母に聞いてみました。母親はもちろん読み書きできますが、その母(あたしの祖母)や祖母(あたしの曾祖母)は読み書きができたのか、と。母の返事は二人ともできたとのこと。百姓なのでできなかったのではないかと予想していたあたしの期待(?)は裏切られました。ただ、母の話では、母が子供の頃、近所には読み書きのできない女性(母からみたら近所のおばさんとか、同級生の母親とか)は何人かいたそうで、都会で働く子供から手紙が届くと、母の祖母のところに持ってきて読んでもらっていた、という記憶があるそうです。うーん、テレビの中の世界がきわめて身近だったのですね。

ちなみに、父方は、既に父が亡くなっているのでわかりませんが、父方の実家は代々の庄屋だったので、それなりの教養はあったと思われます。戦争中に薪代わりに燃してしまったそうですが、家にはかなりの蔵書があったと聞いたことがあります。また父の母(あたしの祖母)は父が幼い頃になくなっていますが、既に亡くなっている父の姉(あたしの伯母)にかつて聞いた話では、家事もやらずに本ばかり読んでいた人だった(だから年の離れたその伯母が父の面倒をみていた)そうです。

というわけで、わが家は決して立派な家系ではありませんが、とりあえず読み書きはできる人たちばかりだったんだなあと、改めて認識した次第です。