同じ死因

料理人の周富徳さんが亡くなりました。あたし自身は彼の料理を食べたこともなければ、彼の訃報を聞いてもそれほどの感慨があるわけではないのですが、彼の死因をニュースで聞いて、ちょっと平静ではいられなくなりました。

誤嚥性肺炎

そもそもこの漢字を読めない人も多いかも知れませんね。「ごえんせいはいえん」です。本来胃の方へ送られなければならない食べ物が、食道などの機能が弱ることで肺に入ってしまい、そのために肺が詰まって肺炎を引き起こし死に至るというものです。あたしの父親の死因がこれで死んでいるんです。

父は多発性脳梗塞を長いこと患い、勤務先を早期退社となり、自宅療養と中短期の入院やデイサービスを併用し、5年ほどで他界しました。多発性脳梗塞は、あたしのような素人から見ると、軽いボケという感じで、徐々に症状が進行し、途中からは家族のこともわからず、食事をしたのに食べていないと言ったり、真夏の暑い日にセーターを着てみたり、入浴や下の世話まで母とあたしでやっていた時期がしばらくありました。

そんな苦労を、今回の訃報を聞いて思い出しました。周富徳さんの家庭は、わが家なんかよりもはるかにお金持ちでしょうから、もっと設備の整った病院で万端のケアを受けていたでしょうから、家族の方の負担はもう少し少なくてすんだのではないかと思いますが……