あのトラはすべてCG!

少し前にやっていたので録画しておいた「ライフ・オブ・パイ」を視聴。

副題は「トラと漂流した227日」とありましたが、映画を見る限り、200日以上も漂流していたようには感じられませんでした。トラと少年が小さな救命ボートで漂流するということで、たぶん予告編などを見る限り、トラに食われてしまうのだろうか、それともトラを殺してしまうのか、あるいはトラと友情が芽生えるのか、といったところに興味が沸きますが、割と早い段階で「同じ動物として、自分はトラよりも強いことをトラにたたき込む」という方針になっていることがわかります。途中の食人島(人喰い族が住んでいるのではなく、夜になると島が酸性化して生き物をすべて溶かしてしまう島)のエピソードは科学的にあり得るのか、ちょっと疑問を持ちながら読みました。そんな島に生えている海藻を食べて主人公は大丈夫だったのか?

結局、太平洋を渡り、メキシコの海岸に打ち上げられたようですが、トラはさっさと森へ消え、何の余韻も残しません。主人公がその後調査に来た保険会社の人に話す漂流譚は信じてもらえず、主人公は助かった少数の人間が殺し合うサバイバルゲーム的な話を語って聞かせます。映画で描かれた動物たちが、それぞれ人間に置き換わった内容で、どちらが本当に起きたことなのか、結末は観客に委ねられているのでしょうか。

それにしても、最後まで見終わってみて、食人島のエピソードは中途半端、前半の主人公がさまざまな宗教と出会うエピソードも、あまり漂流譚に活かされているとは言えません。親子(特に父と)の葛藤を描いているにしても、こちらもやや消化不良。母親の愛情にしても、なんか薄っぺらい。

映画としての出来は微妙でしょうかね? でもって、あのトラはまるっきり、最初から最後までCGらしいですね。よくできていますが、そういうのをわかった目で見ると、やはりCGだなあと見えてしまいます。