チェーン店

昔からある街の本屋が次々に姿を消し、気づくと本屋と言えば、全国かローカルかの違いはあるものの、チェーン店ばかりになってしまいました。そう言えば、街の電気屋さんもほとんど姿を消し、ヤマダ電機やビックカメラ、ヨドバシカメラと言ったチェーンばかりですよね。どの業界も同じ道を歩むのでしょうか?

さて、この書店のチェーンですが、チェーンによってはどのお店も同じような規模で、特に差がないというチェーンももちろんありますが、たいていのチェーンは本店ともう一つくらい大きな店舗があるものです。他は比較的小規模な店舗だけっど、一つ二つは中型店、大型店があるという感じです。もちろん、ジュンク堂書店のように、ほとんどの店が大型店問いチェーンもありますが……

で、こういうチェーンの書店の場合、新入社員ってどこの店舗に配属になることが多いのでしょうか? 最初から大型店は大変だから、小規模な書店に配属になることが多いのでしょうか? それともまずは本店に配属させるのでしょうか? このあたりはその時々の人員構成、配置と上の人の考え方次第なのだと思いますから、とやかく言う筋合いではありません。

ただ、出版社の側から言えば、まずは大型店や中心となるお店に配属させた方がよいのではないかな、と思います。非常に勝手な言い分ですが、営業で回る立場からすると、本店や大型店、中型店には顔を出しても、なかなか小さいお店までは手が回らないという事情があります。ですから、なかなかそういうお店の人と知り合うチャンスが生まれません。出版社も人員削減の折、小さいお店まで訪問できないのが実情なんです。

どんなにネットが普及しても、やはりこの世界、実際に顔を合わせて話をして初めて物事が始まる、動き出すことが多いです。出版社の営業マンも小さいお店に行きたくないわけではありませんし、時間が許すのであれば訪問したいという気持ちは多くの人が持っているはずです。それができないのが、言い訳に聞こえるかもしれませんが現実です。

書店の人からすれば、「うちみたいな小さいところには版元の人は全然来ないよ」という愚痴になるのだと思います。知り合う機会がないから、何かフェアをやりたくても相談する出版社の営業マンに心当たりがない、ということになりがちです。それでも、本店などでそれなりに出版社の人と関係を築いていた人であれば、チェーン内の小規模店に遷っても、それまでの人脈を活かして、棚作り、店作りをやれるのではないでしょうか。出版社側も「某某さんがいるから、あのお店に、こんど顔を出してみよう」という気持ちになります。同じ小規模店でも、知っている人、お世話になった人がいるかどうかで、行ってみようという気持ちに格段の差が生まれます。

これを書店の側から言えば、まずは本店などでいろいろは出版社の人と顔なじみになる、毎日たくさんの荷物に触れることでどんな本が出ているのか、そして売れているのかを知るよい機会になるのではないでしょうか? なまじ小さいお店に配属になると、そういうところは社員の人数も少ないですから、本屋としての仕事以外の業務に忙殺される可能性も高いと思います。

というような話を、少し前に書店に営業に行った折、そこの馴染みの書店員さんと話しておりました。書店も人減らしが進んでいますから、わかっているけど理想的な人員配置を考えている余裕がないし、出版社もそうなのですが、若手を育てている余裕もない、育てられるスキルを持った先輩もいない、という状況なのではないでしょうか?