狩矢警部、説得力ないよ!

あたしの愛する乾さんの誕生日、3月3日に放送されたTBS系の「山村美紗サスペンス 狩矢警部シリーズ13『京都人形浄瑠璃殺人事件』」。この手のドラマ、あたしも母も好きなので、先日放送されていたのをHDDに録画してありましたので、休日の土曜に視聴しておりました。

それにしても、テレビ番組を録画して視るというのは、CMを飛ばして視ることができるので非常に便利です。これに慣れてしまうと、本放送を視るときのCMがうざったくてしょうがなくなります。

閑話休題。

このドラマ、妹が傷つけられ自殺してしまったのを機に、姉である国生さゆりが復讐の殺人を犯すというのがあらすじなのですが、国生さゆりと妹が親に捨てられ養護施設で育ち、その後離れ離れになり、国生さゆりは養父に性的暴力をふるわれ、とこういったドラマにありがちなパターン。妹も失い天涯孤独となった国生さゆりには失うものは何もなく、復讐に邁進するわけです。

もちろん、最後は船越英一郎演じる狩矢警部に逮捕されるわけですが、その時の狩矢警部のセリフは、よくありがちなセリフでした。曰く、妹さんは君に復讐して欲しいなんて思ってはいない。自分のために姉が殺人を犯したと知って喜ぶと思うのか、と。更に曰く、こんなことをして自分のしたことが正しいと思っているのか、とも。

一般論として犯罪は正しくありません。殺人には正義はありません。でも、個別の事例においては、少なくとも当事者にとっては十分正義であることもあるのではないでしょうか? 特に今回のドラマの場合、犯人である国生さゆりは唯一の肉親である妹を失っていて、独身ですから自分の大切な家族もないわけです。また、妹は自殺したときに(海への投身自殺)、脱いだ靴の脇に毒薬を置いていったのです。

これ、誰が見たって、「お姉ちゃん、あたしは死ぬけど、あたしの代わりにこの薬を使って復讐してね」と訴えていると理解するのが普通ではないでしょうか。また、今回も船越の狩矢警部が言ってますが、犯罪者になることを望んでなんかいない、というセリフ。はい、確かに死んでいった妹はお姉さんが犯罪者になるなんて、警察に捕まるなんて望んでいなかったと思います。あたしが妹の気持ちを忖度するに、「お姉ちゃんなら、あたしとは違って頭がいいから、きっと完全犯罪できるよね。バレないように復讐してくれるよね」というものだったのではないでしょうか?

いずれにせよ、少なくともあたしがこの国生さゆりの立場であったら、あたしだって完全犯罪はできなかったと思いますが、警察に捕まっても反省なんかしない、自分は絶対に正しいことをしたんだと最後まで信じているし、その信念を曲げることはなかっただろうと思います。