人身事故初体験

本日は休暇を取りました。先月の休日出勤の代休をずーっと取れないでいたので、ようやくです。

で、寒風吹きすさぶ中、母と亡父の墓参りに行って参りました。墓参り自体は毎年行っているところなので別に珍しくもないです。墓は、と言いますか菩提寺は都心の方にあるので行くのに不便はありません。よい天気、絶好の墓参日和と思って家を出たものの、こんなに風が冷たいとは思いませんでした。

墓参りは午前中に済ませ、帰路、渋谷から井の頭線で吉祥寺に向かいました。吉祥寺から中央線に乗り換えて、というルートです。渋谷駅ではちょうど急行が来たところだったので、それに乗り込みました。平日の午前中ということで、渋谷から吉祥寺へ向かう車両は比較的空いています。吉祥寺で降りることを考え、母とあたしは一番前の車両のシートに座ることができました。

井の頭線の急行は渋谷を出ると下北沢、明大前、永福町、久我山と停車し吉祥寺着です。永福町を出て順調に久我山へ向かっていました。かつて、大学四年生のころまで住んでいた高井戸にさしかかり、懐かしいなあと思っていた矢先、高井戸駅を通過する時に運転手さんがやたらと警笛を鳴らすのです。ホームの端を歩いている人でもいたのだろうと思っていました。

が、次の刹那、ドンという鈍い音と共に、断続的なドン、ドン、ドンという数回の衝撃と音、そして急ブレーキ。一番前、運転席のすぐ後ろで進行方向を見ていた乗客数人の悲鳴。

そうです。あたしたちの乗っていた電車に、高井戸駅のホームから人が飛び込んできたのです。

人身事故で電車が止まるなんていうのは東京にいれば日常茶飯事の体験です。でも、自分の乗っていた電車がその当事者、否、当事車になったことは初めての体験でした。それも当たった車両に乗り合わせ、その衝撃まで感じることになるとは……

その瞬間を見てしまった女性はショックで泣いてしまいました。シートに座っていた女子高生は窓の外を何かが飛んでいったのを目撃したようです。飛び込んだ人は、あたしが乗る先頭車両よりも遙か後方の線路上に倒れているのでしょうか? こういった状況の把握は一番前の車両に乗っていて、その衝撃を体験したからこそ理解できるのですが、たぶん二両目以降の車両に乗っていた人には急ブレーキがかかったことしかわかっていなかったのではないでしょうか?

じきに車掌からの車内アナウンスが入りました。事故直後、急停車した時には騒然としていた車内もアナウンスが流れるころにはやや落ち着きを取り戻し、手にしたケータイやスマホで連絡を取っている人だらけになりました。時間が時間ですから、仕事で取引先へ向かっていた人も多かったのではないでしょうか? それにしても、メールで済ませる人はまだよいとして、おばさんというのはどうしてああでかい声でケータイに向かってしゃべるのでしょう? きっとスピーカーが自分の耳に正しく当たっていないので自分が聞き取りづらいので、ついつい大声になってしまうのだと思いますが、あのような車内ではやはり迷惑に感じます。意外とビジネスマンや若者は声を潜めて話をする人が多いものです。こんな突発的な事故が起こったわけですから車内でケータイを使うのは、通話も含めてやむを得ないと思いますが、おばさんの使い方は勘弁して欲しいものです。

さて、人身事故は11時すぎに起きました。いつになったら動くのだろうと思い続けて数十分。少し車両をバックさせ高井戸駅のホームに付けてくれれば高井戸で降りてバスにでも乗り換えるのですが、ホームのないところで停まっていますし、バックしようにもたぶん飛び込んだ人が倒れていたり、警察の現場検証が行なわれているでしょう。第一、ぶつかった衝撃で電車その者が運行できる状態なのか、保安要員が来ていろいろチェックをしています。それが終わらない限り前にも後ろにも進めないのでしょう。

運転席がすぐそばにあるので、乗務員の無線連絡の音声が耳に入ります。乱れたダイヤをどう建て直すか、頻々と連絡が入っています。渋谷と永福町、富士見ヶ丘と吉祥寺の間でそれぞれ折り返し運転になったようですが、肝心のあたしたちがいつ動けるのかはわかりません。

40分くらいたって、ようやく動き出しましたが、徐行運転のまま次の富士見ヶ丘で運行終了。隣のホームに停車している吉祥寺行きに乗り換えて吉祥寺までたどり着きました。事故を起こした車両はそのまま車庫に回送され、再度チェックが行なわれるのでしょう。長かったような短かったような……

それにしても、人が当たった衝撃というのは案外小さいものですね。そりゃ、ドンという鈍い衝撃はありましたけど、人がぶつかったにしては「あんなものか」という感じでした。ふだん車を運転していてちょっとした小石を踏んだだけでもタイヤを通してそれがわかりますから、人間のような大きさのものがぶつかったら、それこそもっと大きな衝撃になるのではないかと思うのですが、意外と小さかったと感じました。

あたし自身は飛び込む瞬間もその後も何一つ目撃していませんが、もし飛び込んだ人が車両の下に入ってしまい、そこに電車が乗り上げて脱線していたらと思うと、ちょっと怖いですね。

今日はそんな一日でした。