その折りに、いつものように京都大学生協ブックセンタールネにも立ち寄りました。このブックセンタールネの入っている建物は書籍売り場だけでなく、パソコン売り場やスーツ売り場もあり、2階には食堂もある、比較的大きな建物です。
その建物の入ってすぐのスペースでしばしば古書市が開催されています。やっている時は毎回覗いてみるのですが、今回こんな書籍が、なんと1000円で売っていたのでついつい買ってしまいました。
鈴江言一『中国解放闘争史』です。
鈴江言一と聞いてピンと来る人は中国近代史に相当詳しいのではないでしょうか? 恐らく多くの方が岩波書店刊『孫文伝』を思い出したことだと思います。もちろん、あたしもその一人です。
「鈴江言一の本か、安かったら買っておこう」と思って値段を確認すると1000円でしたから「これは買うしかない」と思って買い求めた次第です。函はちょっとボロボロですが、この手の本ではよくあること。古書としては状態はまあまあではないでしょうか。このくらいならわが家にもいくらだってあります。
さて、肝心の『孫文伝』も架蔵していたはずと思って確認してみると、なぜか2冊も所持しておりました。どうして2冊も買っていたのでしょうか? よほど安かったのか、最初に買った一冊の状態が悪かったのでもう少し増しな状態なものを再度購入したのでしょうか?
今とはなっては真相は闇の中ですが、ご覧のようにわが家には『孫文伝』が2冊ございます。
いつごろ刊行された本なのかと思って奥付を確認してみて驚きました。
別に戦後の刊行だったことに驚いたわけではありません。むしろ共産中国成立まで触れるのであれば1949年以降の刊行でないとおかしなことになりますから。
あたしが驚いたのはそこではなく、出版社である「石崎書店」です。浅学菲才にして石崎書店という名を知りませんでしたし、もちろん現在も続いている出版社だとは思えません。他にはどういう書籍を出していたのでしょうかね?
で、あたしが驚いたのは、その石崎書店の住所です。「神田小川町3-24」って、今あたしが毎日通っている場所なんですけど! これはなんという奇縁でしょう? そう思うとこの「石崎書店」と「岩波書店」もなんとなく似た感じがしてきますね。