今回の台風では多くの被害が出ました。
特に河川の氾濫は、堤防にしろ、川の浚渫にしろ、かつてよりははるかに対策が進んでいるものと思っていたので個人的にもショックでした。幸いにも、あたしの知り合いには被害を受けた人はいませんが、幼いころ、まだ杉並区の高井戸に住んでいたとき、大雨が降ると神田川や善福寺川が氾濫し、井の頭線の高井戸駅の高架下を走る環状八号線は水没して通行止めになる、なんてことはしばしばだったのを思い出します。
こんな状況で本を薦めるのは申し訳ないですが、歴史に学ぶという意味では本書も裨益するところがあるのではないかと思います。『パリが沈んだ日』です。副題が「セーヌ川の洪水史」です。
かつてのパリはたびたびセーヌ川の氾濫に悩まされていたそうです。本書の内容紹介にも
1910年1月、花の都パリは巨大な湖と化した。セーヌ川のほとりに生まれ、大きくなっていったパリの町。パリ市の紋章にはラテン語で「たゆたえども沈まず」と書かれているが、紀元前以来、パリは頻繁に洪水にみまわれている。地震や津波、噴火の驚異にさらされることのないパリの人々にとって唯一ともいえる自然災害が、セーヌ川の洪水であった。本書はこの洪水をテーマとするユニークなパリ史である。
とあります。この機会に改めて繙いてみては如何でしょう?