『掃除婦のための手引き書』読了。
書評も出て、店頭でも最初からよく売れていると聞いていましたので、遅ればせながらあたしも読み始めました。
しかし、最初の数篇、実はあまり面白くなかったです。「これがなんで売れてるの?」というのが正直な感想でした。いや、面白くないと言ってしまえば、人それぞれ好みがありますから語弊があるかもしれません。ただ、これほど売れる(売れている)とはとても思えない出来映えだと感じながら読み始めたのは偽らざる感想です。
ところがその数篇を過ぎたところから、突然面白くなってきました。グイグイと引き込まれます。やめられません。「なんだ、この面白さは!」と掌を返したような感想になりました。「これ、もしかして途中から著者が変わっていない?」と思えるほどの違いです。
何なのでしょうね、この変わり方。作品が変わったのではなく、あたしがようやくルシア・ベルリンの作品世界に入り込むことができたということなのでしょうか?
そう言えば、以前にも一度同じような体験をしています。やはり途中までは退屈で、読み進めるのをやめようかと思ったのですが、そこを我慢して乗り越えたら俄然面白くなって、ページをめくる手が止まらなくなったのです。
その作品は『ダンテ・クラブ』です。現在はもう版元品切れなのかしら? 売れたのか売れなかったのか知りませんが、とにかく途中で著者が変わったのか、あるいは役者が変わったのか、というくらい読みやすく、面白くなったのが印象的な作品でした。
こういう作品ってあるものなんですね。