今年の梅雨は、少なくとも関東では、雨がよく降るなあという印象です。特にこの数日は肌寒いくらいの気温で、農作物の生育が心配になるほどです。
そんな雨の日にうってつけの一冊、『そんな日の雨傘に』はいかがでしょうか?
内容は「靴の試し履きの仕事で、街を歩いて観察する中年男の独り言。関係した女性たち、子ども時代の光景……居心地の悪さと恥ずかしさ、滑稽で哀切に満ちた人生を描く」といったもの。ダメ男好きにはたまらない一冊ですので、外出するのも面倒臭い雨の夜の読書にふさわしいと思います。装丁も、いかにもこの季節にぴったりではありませんか?
逆に、暑い夏が待ち遠しいという方にお薦めなのは『魔法の夜』です。
ミルハウザーの短篇で、アメリカのとある田舎町、夏の暑くて寝苦しい一晩の物語です。暑さで眠れなかったり、他の理由で起きている人々の夜の活動を克明に追った作品で、ほのぼのとしたファンタジーあふれる作品になっています。
こちらもまた装丁が秀逸です。プレゼントに如何でしょうか? また分量としても比較的薄い本ですので、夏休みの読書感想文にもピッタリです。
寝苦しい夜なんて生ぬるい、暑さが行き着くところまで行ってしまった作品『年月日』です。
こちらの内容は「千年に一度の大日照りの年。一本のトウモロコシの苗を守るため、村に残った老人と盲目の犬は、わずかな食料をネズミと奪い合い、水を求めてオオカミに立ち向かう。命をつなぐため、老人が選んだ驚くべき最後の手段とは?」となっています。
犬好きには涙なしでは読めない感動作品です。