「搬入」か「発売」か

新刊『みんなの空想地図』は昨日取次搬入日でした。

というこの表現、業界の方なら即理解可能なんでしょうけど、一般にはどうも伝わりにくいようです。「刊行」「発売」とは違うのか、と言われると「部分的には合っているけれど、実は違う」という答え方しかできません。

どういうことか、少し前の『キフシャム国の冒険』の時にも同じような事態となりましたので、余計なお世話ですがちょっとご説明を。

一部地域を除いて週刊誌は毎週何曜日発売と謳っています。これはその曜日に全国の書店の店頭にその雑誌が並んでいるということで、大手出版社の期待の新刊なども何月何日全国一斉発売、などと書いてあります。

が、白水社はそうではありません。白水社が言えるのは「何月何日に取次(←この業界の問屋のことです)に入荷となります」ということまでです。このことを「何日発売」と言ってよいものか否か、やはりお客様には誤解を招きそうなので電話で問い合わせを受けた時には「発売」という表現を使わないようにしています。

で、取次に入った新刊はこんどは書店ごとに分けられ、それぞれの書店に送られるのです。取次は東京にありますので、東京の大書店であれば昨日の夕方にお店に入荷しているところもあるかもしれませんが、多くは本日の入荷になると思います。

日曜・祝日は基本的に荷物もストップしますので、今日入荷しなかった書店の場合、入荷は連休明けになります。それも地域によって火曜日入るお店もあれば水曜日になるお店もあると思います。このあたりの事情、流通状況はうちでは把握できていません。お客様には不親切な回答になってしまいますが、いま書いたような商品の流れを説明してわかっていただくより他に方法はありません。

で、「キフシャム」ですが、あの時も金曜日に「取次搬入」で翌日から三連休でした。しかし「搬入」を「発売」と理解したとおぼしき読者の方が金曜日に近所の書店に奔ったものの商品がないので「あっという間に売り切れた」と思い込んでしまったようです。ネットでは翌日からの三連休「どこの本屋に行っても手に入らない」という噂が乱れ飛び、却って混乱に拍車をかけてしまったようなのです。

この『空想地図』も、たぶん今日はほぼどこの本屋に行ってもまだ入荷していないのではないでしょうか? 置いてあるとすれば、東京の都心、ターミナルの大書店数店舗くらいだと思われます。