もうまもなく、あの六四天安門事件から30年がたとうとしています。30年と言えば、今の若い子は生まれていませんし、生まれていてもほとんど海外のニュースになど関心を持つような年頃にもなっていなかったでしょう。
あたしはと言いますと、大学の4年生でした。もちろん中国学を学んでいました。いま思い返してみますと、テレビの画面にかぶりつきで凝視していたという記憶はありません。もちろん衝撃的なニュースでしたし、信じられないような光景でもありました。
ただ、ほぼ一年前に当たる1988年の2月から3月にかけて、あたしにとっての初めての海外体験であり訪中であった短期語学留学で北京に滞在していたので、あの中国北京でこんなことが起きているなんて、という気持ち、自分が滞在していた場所、滞在している間に何度となく訪れた天安門広場とニュースで流れる天安門広場が同じ場所だとは思えない感覚でした。
人によっていろいろと思うことはあるでしょうが、個人的に思うことは、中国ってそれでも前へ進んでいく国家なんだなあということです。後世からいろいろ評価されるのはわかっているでしょうけど、とにかく前へ進まないとならないという強迫観念にでも囚われているかのようです。
もう30年、まだ30年ですので、当時を知っている中国人もたくさんいます。共産党政権の前で口をつぐんでいるのでしょうが、それでも記憶を記録に残しておかないと風化してしまいますから、今後はいろいろと事件を検証した書籍などが出てくるのではないでしょうか? そんな一冊が『新全体主義の思想史 コロンビア大学現代中国講義』です。
そして、東京の明治大学で、同書の著者・張博樹氏を迎えてシンポジウムが開かれます。興味のある方は是非。同書の会場販売もやっています。