YAと人文、どっちが楽しい?

昨日の総会で担当が代わったYA出版会ですが、引き続き担当を続ける人文会と比較して「どう違う?」とか、「どっちの方が楽しい?」といった問いを受けることがあります。何が違うかと問われれば、方や中高生向けの書籍の普及、方や人文書の普及で、扱う書籍がまるで異なります。毎月一回例会が開かれる、年に一度二泊三日の研修旅行がある、図書総目録を作成するといった活動は同じですが、それ以外ではかなり異なるところがあります。

YAの方は、そもそも書店にYA(ヤング・アダルト)という棚、コーナーが作られているところはほとんどなく、まずはYAという言葉を知ってもらう、YAコーナーを作ってもらう、というところから始めないとなりません。ですから、年間を通じて書店の棚に陳列してもらう基本図書セットというものを作り、全国の書店にそれをおいてもらう活動があります。次に、年間を通じてYA本を置いてもらう棚が難しい書店でも年に一回のフェアなら可能だろうと言うことで、平積みフェアという企画も毎年行なっています。どちらも会員社20社の合同・協力jによるものです。

それに対して人文会は、小さな書店を除けば、多くの書店に人文書コーナーはあります。人文書と呼ばなくとも哲学・思想、歴史、心理、宗教と言ったジャンル、コーナーはあります。かつてはこういったジャンルを総称して人文書といったコーナーが作られていなかったので人文会が出来たと聞き及んでいますが、いま現在、人文書という売り場のない大型書店はないと言ってよいでしょう。ですから、人文書という言葉やジャンルを普及させるためにフェアを企画すると言うことは基本的にありません。このルーチンワークとしてのフェアを会を挙げてやっているか否かがYA出版会と人文会の大きな違いであります。

また人文会は人文書を出している出版社が加盟していますが、宗教が強いところ、心理学が強いところなど、各社多少のバラツキはあるとはいえ、だいたい似たようなカラーの出版社です(語学書が柱の一つになっている白水社がむしろ特殊かも)。それに対してYA出版会はこちらもヤングアダルト図書を出版している出版社の集まりではありますが、基本的な児童書の出版社と一般書の出版社の混成です。あたしから見ると児童書出版社は小さいころにお世話になった本の出版社なのでしょうが、小さいころに出版社の名前を意識して本を読む、読んでもらうことなどありませんので、ほとんどが「お初」の出版社です。その営業スタイルや出版のノウハウは白水社とはまるっきり異なり、目から鱗ということもしばしばでした。また一般書の出版社も晶文社のように比較的うちと似たようなところもありますが、河出書房新社や徳間書店のような大きな会社、ベストセラーを次々に放っている大和書房など、こちらもその本作り、営業スタイル、見ること聞くことが新鮮で勉強になることが多かったです。

人文会では「ああ、そうだよね」という言葉を交わすことが多いですが、YA出版会では「えー、そうなの?」「そんなことやっているんだ」という言葉を発することがしばしばありました。そういう意味では他流試合に参加させてもらったという感覚でしょうか。

いずれにせよ、この経験を今後の仕事にどう活かすか、そこが肝心なのではないでしょうか?