ISOLA

久々に放映されていたので見ました。昔、たぶんテレビで放映されたのを見たことがありましたが、久しぶりのオンエアだと思います。

ISOLA 多重人格少女』です。原作は角川ホラー文庫の『十三番目の人格(ペルソナ)―ISOLA』だったと思いますが、もちろん原作は読んでおりません。映画のみの鑑賞です。

原作とは多少違う内容、結末のようですが、これはこれでジャパン・ホラーの一作品になっているのではないでしょうか。ISOLAとは英語のISOLATEを踏まえつつも、「雨月物語」の磯良も引っかけているとは、今回改めて思い出したというか、知りました。上田秋成は英語を知っていたのでしょうか? それとも偶然の一致でしょうか?

   

いまは女優業をやっていない、黒澤明の孫娘・黒澤優が主演というか主要キャストで、当時はかなり話題になっていたと思います。でも、主演はやはり木村佳乃なんでしょうね。黒澤優が多重人格を患っている孤独な少女で、そこへ幽体離脱実験時の事故で亡くなった(実際には離脱中だったので、戻るべき肉体を失った)女性の霊が、黒澤優に取り憑き、更にもう一つの人格となって人殺しを犯すというストーリー。

黒澤優は継父に性的嫌がらせを受けていて、そのあたりはTBS系ドラマ「高校教師」の繭を思い出させます。果たしてそういうことが人格の分裂を引き起こすものなのか、医学に疎いあたしにはよくわかりませんが、この映画ではそれも原因の一つのようです。あとは幼少期に名の前で両親を事故で失うという悲劇から離れるために、無意識のうちに別な人格を生み出していたものようです。これは実際の多重人格の方の理由の一つとしてしばしば見られるものですね。テレビなどでも見たことがあります。

閑話休題。

この映画を見て改めて思ったのは、この映画の舞台が震災後の神戸だということです。ここで言う震災とはもちろん「阪神・淡路大震災」です。東日本大震災以降、世間の耳目はそちらにばかり目が向いてしまっていますが、いまだにその後遺症に悩む人も大勢いる、大きな災害でした。特に神戸の被害に対し、大阪がほとんど無傷に近いという、あの短い距離の中での好対照がよりショッキングに感じられたものでした。そういう意味では、この作品はもちろん映画ですが、あの震災後、科学や医学では説明できないことってたくさん起きていたんだろうなあ、と思います。小説にならなかっただけで、もっと過酷なこと、もっと悲劇的なことが起きていたのではないかと、あたしには阪神の大震災ですらついこの間に感じられるので、この映画を見ながら、そんなことを考えていました。

それにしても木村佳乃の若いこと。最近はややヒステリックで強気な女性を演じることが多いですが、この頃はごくごく普通の女性を演じていますね。とはいえ、実はこの映画の中でもっとも謎の出演者だったのかもしれませんが。

そして黒澤優って、もう少し美少女だったような印象があったのですが、いま見返してみると、平凡な容姿だったなあ、少なくともこの映画では、と思いました。