二鍋頭のこと

東方書店のTwitterでこんな本を知りました。

あたしも編集部時代にはたいへんお世話になった榎本先生のエッセイです。タイトルは『躑躅の思い出 中国語六十年』ですが、このタイトルを見た時に思い出したのが、岩波新書からかつて出ていた倉石武四郎著『中国語五十年』です。

というわけで、出版元である伴想社のサイトを表示しながら岩波新書を並べてみたのが右の写真です。

別に五十年と六十年でどちらが長いのか比べてみても意味がないでしょう、時代が異なりますから。それぞれの来し方を知るのが楽しさだと思います。そんなことを思っていると、「岩波新書、復刊されないのかなあ」なんて考えてしまいます。岩波新書が無理なら、ちくま文庫あたりで復刊してくれないものでしょうか?

さて、同じく東方のTwitterで知ったのが、同社の新刊『魯迅と紹興酒』です。こちらは営業回りの途次、店頭で実物も目睹しています。ページを開いて目次を眺めていましたら、「2 北京の二鍋頭」という文字が飛び込んできました!

おお、二鍋頭酒! 懐かしいです。

冬の北京と言えば、羊のしゃぶしゃぶ(涮羊肉)と二鍋頭酒が定番。あたしもよくいただきました。まだ学生だった頃、北京に資料調査へ赴き、北京大学の先生と大学構内の食堂でいただいたのが思い出されます。

夕食ではなく昼食だったのですが、いくら飲んでも次から次へと二鍋頭酒が出て来て、最後はもうへべれけ状態でした(汗)。当時の二鍋頭酒は、あたしが北京のスーパーなど見た限り、55度と65度の二種類が売られていました。飲んでいたのは65度の方だったはずです。二鍋頭酒を飲んでいると、ビールがまるでチェイサーのように感じられたものです。

上述の北京大学での会食は、その後、北京大学から都心部のホテルまでタクシーで戻ったのですが、交通渋滞と路面の悪さもあって、あたしは完全に酔っ払ってしまいました。ホテルに着いたらバタンキュー、何もする気が起きない状態でベッドに横たわっていました。

が、さすがは蒸留酒です。その晩、8時か9時を回った頃に、スーッと酔いが醒めてしまったのです。自分でも驚くほどすっきりとした気分で、こんどはお腹が空いてくる始末。それ以来、北京に行くと二鍋頭酒をスーパーで買っては、ホテルで晩に飲んでいました。しかし、だんだんと度数が低くなっていったのは老北京の健康を慮ってのことでしょうか?