フランスの20年?

先のダイアリーで「坐忘を思い出す」と書きましたが、「坐忘というのは忘れることだから、思い出していけないのではなかったか」と、今さらながら思っています。

さて、近々、岩波新書から『フランス現代史』という新刊が出るそうです。岩波新書では、かつて同名の本が出ていたはずですが、著者を変え新しいものが刊行されるようです。同書は

1944年の解放から、「栄光の30年」、五月危機、石油危機、「ミッテランの実験」の挫折、新自由主義、そしてマクロン政権成立──フランスの戦後を通観すると、そこには「分裂と統合の弁証法」というダイナミックなメカニズムがみえてくる。欧州統合の動きにも着目しながら現代フランスの歩みをとらえる通史。

というのが内容紹介です。

フランスの現代史と言えば、昨年、ちくま新書から『フランス現代史 隠された記憶』というのが出ていますが、こちらは第一次世界大戦から残る戦争の記憶と言いますか、フランスの暗部を描いたもので、通史的なものではありませんでした。

 

今回の岩波新書は、いわゆる通史のようですから、基本的な知識を得るにはちょうどよいのではないかと期待しています。通史的なフランス現代史と言えば、中公新書で『フランス現代史』が出ていました。1998年刊行の書籍です。

パリ解放とドゴールの凱旋によって出発したフランスの戦後には疲弊した経済の立て直し、植民地解放運動への対処等課題が山積していた。とりわけアルジェリア紛争は国内分裂を招きかねない危機であった。これを乗り切ったドゴールの指導力も、五八年五月の学生反乱を契機とする変革の波には抗し切れなかった。高度産業社会は伝統的価値観も転換させたのである。英雄の時代からコアビタシオン(保革共存)へ向かうフランスの試行の足跡。

という内容のようです。ちょうど20年後の今年、岩波新書版は中公新書版に対し、どういう内容の追加があるのでしょうか? フランスのこの20年には何があったでしょう?

サッカーW杯におけるジダンの頭突き事件に端を発する移民問題、シャルリエブド事件やパリ同時テロ事件など、解決が難しい問題が山積のような気がします。

 

あたしの勤務先も『シャルリ・エブド事件を考える』『パリ同時テロ事件を考える』なんて本を出していますので、《フランス現代史を考える》なんてフェアが出来るかも知れませんね。