ワーカーホリック?

テレビでとある若いバイヤーの奮闘記を放送していました。デパートの物産展担当の若いバイヤーが、各地を回って出展を依頼するという内容でした。まあ、ありがちなドキュメンタリーと言えば、まさにその通り。なかなか出展のオーケーがもらえなかったり、当日までにいろいろなトラブルがあったり、フェアが始まる前日まで苦労の連続、それをガッツと先輩の助けを借りつつ乗り越えていく、という内容です。

一昔前であれば「頑張ってるな、負けていられないぞ」と視聴者に思わせるのでしょうが、いまの時代、ああいう内容が受けるのでしょうか? 先輩や周囲の協力とか本人の頑張りはいいのです。それはいつの時代でも変わることないと思います。あたしが問題だと感じるのはその働き方です。

そのドキュメンタリーの主人公(?)は朝早くから夜遅くまで働きづめです。夜に出展者の元を訪問し、また会社へ戻って仕事をして、という毎日がフェアまで数ヶ月続いているようです。そんな働き方が果たして正しいのでしょうか? 確かに先方とのアポイントが9時、5時の時間外であれば仕方ないでしょう。でも、それならその分の半代休などをきちんと取っているのかというと、テレビを見ている限り、そんなことはなさそうです。

このドキュメンタリー全体のトーンとして、フェアを成功させるためには勤務時間も関係なく、とにかく粉骨砕身、がむしゃらに働くんだ、という視点が強調されているように感じます。でも、あたしはそうは思いません。やはり仕事は勤務時間内で終わらせるべきであり、残業しないと終えられないというのは、本人の能力が足りないか、上の人間の仕事の割り振りが間違っているかのどちらかだと思います。

別に適当に仕事をしろと言っているのではありません。そうではなく、あくまで会社と自分とは勤務時間内だけ仕事をするという契約で結ばれているのであって、それを超えて仕事する必要はないと言うことです。もちろんこのドキュメンタリーで、残業代がきちんと支払われていたのか、そこまでは描かれていません。たぶん本人もきちんと残業代を請求していないのではないでしょうか?

それはともかく、残業するのが美談のように描かれていることに違和感を感じます。

その一方、最近の人はなにかにつけて忙しい、忙しいと口癖のように言う人が多いようにも感じます。あたしから見ると、それくらい残業なんかしなくても、休日出勤しなくてもできるでしょ、と言えるような仕事量なのに、とにかく「忙しい」「とても終わらない」と言う人が多いです。確かに、仕事量は変わらずに社員だけは減っている現状では、かつてよりも労働過重になっているのは間違いないでしょう。でも、そんなに言うほどの仕事量なのか、という気がします。こういう不景気だからこそ、やはり社員としてはもっと生産性を上げて仕事に励むべきなのではないかと思うのですが……