報復合戦は決して終わることはない?

アメリカのトランプ大統領が中距離核戦力(INF)全廃条約を終わらせるつもりだと発言したというニュース。この人のアメリカファースト、自分ファースト、詰まるところは国際政治感覚音痴ぶりは今に始まったことではありませんが、先人たちが築き上げてきたものをいともあっさりと……

 

とりあえず、こんな本を読んでみるのは如何でしょうか?

ピュリツァー賞受賞のノンフィクション、『死神の報復(上) レーガンとゴルバチョフの軍拡競争』『死神の報復(下) レーガンとゴルバチョフの軍拡競争』です。

本書のタイトルだけ見ますと、ゴルバチョフとレーガンが互いに核開発を競争していたように思われるかも知れませんが、実は二人ともなんとか軍拡の流れを止めようとしていたというのです。

1970代後半、ソ連は西側に大きな脅威となる「大陸間弾道ミサイル」を開発、80年に実戦配備した。83年、米はこれに対抗し、レーガン大統領が「スター・ウォーズ計画」を提唱した。レーガンは反共主義者であったが、ソ連指導者たちに私信を送り続けていた。ソ連が先制攻撃を仕掛けてきたら、従来の核抑止理論は役に立たない段階に至っていると考え、「核の全廃」しか道はないという理想を抱いていた。一方ゴルバチョフも、新時代の到来を内外に訴えた。レーガンとの首脳会談では意見が合わなかったが、核戦争に勝者がないという一点で、利害の一致を見た。ソ連崩壊後、焦眉の急は、旧ソ連に眠る核・生物兵器など「冷戦の置き土産」だった。頭脳や原材料・機材の流出を阻止すべく、米ではある「秘密作戦」が進行していた……。「核兵器のない世界」は実現できるのか? 冷戦の「負の遺産」を清算できるのか? 20世紀の冷戦における軍拡競争、核・生物兵器をめぐる諸事件を、米ソ・国際政治の動向から、人物の心理や言動まで精細に描く。作家は『ワシントン・ポスト』紙でレーガン/ブッシュ両政権を担当、モスクワ支局長を務めた記者。

ウェブサイトに載っている内容紹介は上記です。まさしく手に汗握る傑作ノンフィクションです。