大江ではなくŌe

朝日新聞に、司修さんが大江健三郎について書いている文章が載っていました。

司さんと言えば、あたしの勤務先からは『本の魔法』や『絵本の魔法』などがありますが、ここでは『Ōe 60年代の青春』をご紹介しないとなりませんね。

一見するとタイトルが何を表わしているのか、もしかすると読み方すらわかりにくいかも知れませんが、わかってしまえばなんてことはないでしょう。大江健三郎のことです。

以下はウェブサイトに載っている本書の内容紹介です。

大佛次郎賞を受賞した『本の魔法』では、実は著者と最も関係が深いと思われる大江健三郎について言及されていなかった。370ページを超える本書に目を通せば、読者はその理由がわかるだろう。著者が手がけた装幀で、最多を誇るのが大江の作品である。二人はほぼ同世代。大江10歳、著者9歳のときに敗戦を経験し、同時代を歩んできた。1970年に『叫び声』の装幀を依頼されて大江と出会い、以来、作品の深い読みが反映された装幀で大江の代表作が次々と世に送り出された。大江作品は、小松川高校事件(女子高生殺害事件)、安保闘争、浅間山荘事件、狭山事件、原爆と原発事故による被曝、沖縄、在日朝鮮人の問題など、常に実際の事件や社会問題と想像力が結びついたものである。本書で大きく取り上げる『叫び声』と『河馬に嚙まれる』には、大江が追究してきたテーマのすべてが網羅され、不気味なほど現代につながる。著者は装幀をした時代を振り返り、大江作品を改めて多方面から精読し、国家や組織などと対峙する「個人」の魂の声に突き動かされながら、小説からだけではわからなかった事実を引き出していく。著者ならではの視点と感性で大江文学から現代への鮮烈なメッセージを摑み取る、渾身の書き下ろし!

如何でしょう、朝日新聞の記事を読んだ人であれば、本書を手に取ってみたくなるのではないでしょうか?

ちなみに、あたしの勤務先から刊行されている司修さんの著作は、上記の三冊以外に『戦争と美術と人間 末松正樹の二つのフランス』と『孫文の机』があります。

他社からも著作が多いですし、装丁を手がけた作品となると膨大な数になりますので、とりあえず紹介はこのくらいにしておきます。