ケインズの『雇用、利子、お金の一般理論』が取り上げられていました。しかし、原典に食らいつくことも大事ですが、いきなりでは歯応えがありすぎるというのも否定できないところです。
そこでご紹介したいのが『ケインズを読み直す 入門 現代経済思想』です。タイトルどおりのケインズ入門です。まずは本書を手に取ってみるのはいかがでしょう? 原典に当たるのはそれからでも遅くはないと思います。
続きましては日曜日の紙面。移民に関する記事です。
記事中にも、移民は財政的な負担になるのか、といった言葉が見えていますが、「移民を〈労働力〉ではなく〈人間〉としてみること」をテーマとした本書は、著者自身がキューバから移ってきた移民であり、移民問題を考える上で欠かせない一冊だと思います。
一般に経済学者は貿易や移動の自由を支持する傾向が強い。社会的効率や経済効果といった観点から、開国や移民は全肯定される。それだけではない。さまざまな数式モデルや統計データを用いて、あたかもその推進が客観的な数字に基づいているかのように議論されるのだ。しかし、労働経済学という視角から見たとき、事実は全く異なる様相を呈する。まず、経済効果という観点で言うなら、移民には短期的な効果はない。とりわけ未熟な労働者を受け入れた場合は、福祉制度に深刻な打撃を与えてしまう。加えて、雇用を奪われる労働者から安く移民を雇う企業に莫大な富が移転するという事態も招く。長期の効果もかなり心もとないものだ。それでも高技能から低技能まで、多様な移民を受け入れるのはなぜなのか?
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