波及効果

2020年のオリンピックとパラリンピックが東京に決まり、テレビは完全に浮かれモードです。経済アナリストたちも五輪開催による経済効果を何兆円とかって試算していますね。

オリンピックに限らず、あの波及効果何兆円、あるいは何億円って、いったいどうやって検証するのでしょう? あるいは、ああいった経済学者の予想って、これまで本当に当たっているのでしょうか? 例えば、阪神が日本一になったら京阪神地区への波及効果はウン億円なんて言われたりしますが、こんなのってどうやって試算しているのか、いや、資産よりもどうやって結果を検証しているのか、そちらの方が不思議です。

翻って出版界。オリンピックとかサッカーのW杯などの時は景気が悪くなります。いや、既にこの二十年近く、これ以上落ちようのないところまで落ちているので、少しは上がって欲しいところですが、過去の例を見ますと、こういったスポーツイベントの時はみんなテレビにかじりついていて本屋に来なくなるので、本は売れません。もちろん選手名鑑とか、決まったアイテムは順当に売れるのでしょうけど、一般的には売上は間違いなく落ちます。

あたしの勤務先の場合、「海外からたくさんお客さんが来る」→「少しくらいは外国語がしゃべれるようになりたい」→「よし、外国語を勉強しよう」→「外国語の参考書を買わなければ」という、風が吹けば桶屋が儲かる的な、極めて薄い経済波及効果が果たして見られるのか……

うーん、難しそうですね。

だって、その頃になればきっと他の出版社が、もっと手軽でわかりやすそうな、いかにもその場限りの使用に適した、カラフルで安い本を、ものすごい勢いで出してくるでしょうから!