文化欄で取り上げられないのでしょうか?

先日も取り上げた明治書院の「新釈漢文大系」完結の件、本日の朝日新聞サンヤツに広告が載っていましたね。

広告は出版社の判断で出すものですからよいとして、これだけの事業、朝日新聞であれば文化欄などで取り上げてくれないものでしょうか? この数年、出版業界がニュースになることと言えば、不況とか、本屋が消えたとか、そんな記事ばかり。やや明るいニュースとしては他業態とのコラボで売り上げを伸ばしているといったセレクト型書店ばかり。

もっと至極まっとうな、ごくごくフツーの出版活動や本屋のことがニュースにならないかと思うのです。そういった点で、この出版不況の中、数十年にわたる事業を完結させたことはニュースに値すると思います。

同じ業界人として言えば、前回も書きましたが、完結した時に全巻が揃っているということがどれだけスゴいことか、たかだか全数巻、2年程度の完結するシリーズ、全集ですら、最終巻が出た時に最初の方の巻が品切れなどというのはよくある話です。100巻を超え、数十年かけたシリーズが全巻揃っているというのは本当に素晴らしいことです。

いや、もちろんこの間品切れになっていた巻も多々あったということは承知しています。しかし、完結を期して全巻揃えるという判断、出版社としてはなかなかできるものではありません。特にこの手の、専門家や図書館しか買わないであろう専門書、重版したってどれだけ売れるのか現実的に計算したら、全巻揃えることを諦める出版社がほとんどだと思います。

しかも、内容見本で全巻のラインナップを見てみると、最終刊ですら1万円を少し超える程度の価格です。一番最初の巻がいくらくらいで売り出されたのか知りませんが、函入りのこれだけのものがこんなに安くてよいのだろうか、という気もします。