お昼のニュースで、山口線のSL重連運転の模様を伝えていました。D51とC56、2両のSLが繋がって客車を引っ張る様は壮観です。C56は明日の運行で引退らしいので、ファンにとってはたまらないイベントになっているのでしょう。
SLは維持するのが大変、運転を含めた動かす技術の継承も難しくなってきている昨今、国内で残っているSLはいつまで走り続けられるのでしょうか? もちろん、こういう集客効果を見込んで、確か東武鉄道がSLを走らせる計画を立てていたと、少し前にニュースで知りました。やはりネックは技術を保つことと車両のメンテナンスのようです。
そんなニュースを聞いていて思ったのは、どうせSLを走らせる区間は通勤電車が走るような路線でもなければ、ましてや新幹線や在来の特急が走ることもない路線でしょう。つまりそれほど速く走る必要はないと思われます。
だったら、外観だけSLにして内部は完全に電気で動くような列車は開発できないものでしょうか? 日本の技術であればそれほど難しくはないと思います。汽笛の音も人工的に作れるでしょうし、煙だって水蒸気かドライアイスで環境にやさしいものが出せるはずです。言われなければ、パッと見には、完全に当時のままのSLというのは作れると思います。まさしく銀河鉄道999です。
しかし、そういう風にして作ったSL、きっと往年のファンは嫌うのでしょうね。本物じゃない、と言って。
確かに、石炭をくべて本当にそこで火を焚いている力強さは出せないのかも知れませんが、今の時代にSLを走らせようと思ったら、こういう方法しかないのではないでしょうか? もちろん、こんな「似而非SL」で観光客を呼び込めるのかどうか、そこはわかりません。昔のSL、本物のSLが走っているからこそファンが集まってくるのでしょうから、ニセモノでは誰も来てくれない可能性も考えられます。
ただ、断わっておきますが、見た目は完全にSLを再現できたらどうでしょう? 多くの撮り鉄にとっては被写体として完全なSLであればそれでよいのではないのでしょうか? 乗り鉄だって、機関車の車両に乗るわけではないでしょうから、客車に乗っている限り、吸っても煙くない、窓を開けていても汚れない煙を出しながら走るSLでもよいのではないかと思うのです。
そんなことを考えていたら、最近話題になっているお城の天守閣を鉄筋コンクリートで復元する計画の是非について思い至りました。耐震の問題を考えると、かつてのような高層の天守閣を木造だけで作るのは法律が許さないのでしょう。しかし、多くの城マニアは鉄筋コンクリート造りの天守閣を本物の天守閣とは認めないはずです。
そう考えると、SLと似たようなことだと思います。外見だけSL、中は電気の機関車を認めるのであれば、外観は全く創建当時のまま、内部は鉄筋コンクリートの天守閣だって「あり」なのではないか、そんな風に思えてきました。