出版社のメリット、アイドルのメリット

まだ実際の店頭で見てはいないのですが、講談社文庫と乃木坂46のコラボ「乃木坂文庫」が各地の書店で始まったようです。公式Twitterでは展開の様子が続々アップされています。11月2日に入荷したところが一番早いお店になりますでしょうか? 現在の出版流通では、どうしても2日に入荷しないお店も出てくるのはやむを得ないところでしょう、ファンにとっては地団駄を踏む事態ですが。

公式Twitterでは店頭写真のアップを呼びかけていることもアリ、かなりの数の書店がこのフェアに参加していることがわかります・Twitterなどやっていないお店もあるでしょうし、取り立ててアップなどしないお店もあるでしょうから、三箇所点数は更に多いかと思います。

Twitterを見ていて感じたのは、大学生協の参加もかなりの数に上っているということです。乃木坂46の場合、モデルをやっているメンバーも多いことから女子人気も高いので、大学生協としても売り上げを見込んでいるのではないでしょうか? とにかく日本列島に乃木坂46旋風が吹き荒れているという感じで、アンチにとっては忌々しい限り、ファンでもない人には「何これ?」という感じでしょう(笑)。

さて、今回のフェア、書店にはメリットがあるのでしょうか?

ふだん、本などに興味を持たない人が買ってくれるというメリットがありますね。ただ、こういうコラボですと、乃木坂46ファン以外は引いてしまい、却って購買意欲を削いでしまわないかという懸念もあります。贔屓目に言えば、乃木坂46は、実際はどうあれ、清楚を売りにしているので読書との相性はよく、アイドルが表紙を飾っているからといって、それほど敬遠されることにはならないのではないかと思います。それを言うなら、明治期の文豪をアニメキャラのようにしたカバー装画の方がよほど「やりすぎ」感を感じます。

で、そういうマイナスな、懸念材料を払拭するほど、乃木坂46ファンが買いに来てくれるのか? 書店にとっての成否はそこなのかも知れません。とはいえ、いかなファンでも46点全部を買うとは思いません。これに握手券でも付いているのなら、CDなどよりははるかに安い文庫本ですから、大量買いの猛者も現われるはずですが、カバー写真だけでは推しメンと、あとは数名分を買って終わりが関の山ではないでしょうか?

ふだん本を読まない人には本を手に取るきっかけに、ふだんから読んでいる人にはこの機会に自分では選ばないようなジャンル、作家の本を読むきっかけになってくれれば、書店としても出版社としても嬉しいところです。

さて、問題は出版社です。

店頭写真を見ていると、だいたい1点につき5冊くらい並んでいます。大型店なら10冊とか20冊というところもあるのではないでしょうか? これだけの店舗でフェアを展開するとなると、一点当たり相当な冊数を重版したと予想されます。フェアですから全部が売れるわけはなく、半分も売れれば御の字でしょう。そうなるとフェアが終わったときに大量の返品が……

考えただけでも恐ろしいです。それが46点あるわけですから! 乃木坂46へのロイヤリティーがどのくらいかわかりませんが、講談社文庫が普通にフェアをやった場合と、収支的にはどちらにメリットがあるのでしょう? ただ、先日の文春の「図書館で文庫を貸すな」ではありませんが、文庫が売れない時代なので、何とかしなければというところなのでしょう?

それにしても、今回のコラボフェア、書目は講談社が決め、カバーは単純にメンバーの名前の五十音順に割り振っただけ。別にメンバーが読んで感動した本を推薦し、その本のカバーになっているわけでも何でもありません。もちろん、メンバーの一言感想が付いているわけでもありません。ですから、たぶん自分が担当した本を読んでいないメンバーが過半でしょう。

それって、メンバーとしてはどうなのでしょう? 特に飛鳥とかずーとか、それなりに本を読んでいる、本好きなメンバーからしたら「バカにされている」と思わないのでしょうか? などと思ってしまいます。