晶文社の新刊『ギリシャ語の時間』、ほぼほぼ読み終わるところです。
タイトルだけですと、「語学エッセイ?」という感じの本ですがガイブンです、韓国文学です。晶文社がこのほどスタートさせた韓国文学のシリーズ《韓国文学のオクリモノ》の記念すべき第一冊目です。
主人公は、あることがきっかけで言葉を話せなくなった女性と、彼女が通う古典ギリシア語スクールの男性教師です。この教師は視力が徐々に失われていく病気を抱えていて、それがかなり進行していて失明寸前の状況です。
そんな二人の、これは大人のプラトニックラブなのでしょうか? あとちょっとで読み終わりますが、結末が楽しみです。
そんな本書には、ところどころギリシア語が引用されています。ギリシア語が読めなくてもストーリーに何ら問題はありませんが、読めた方がより味わえるのも確かです。そんな、本書をきっかけに古典ギリシア語に興味を持たれた方には『古典ギリシア語のしくみ』がお薦めです。
スラスラ読める、新書のような語学入門書《言葉のしくみ》シリーズの一冊です。本格的に古典ギリシア語を学ぼうというほどではないけれど、ちょっとはかじってみたいという方に、このシリーズは非常にピッタリです。
一見すると海外文芸らしくない文芸書と、語学書らしくない語学書の組み合わせ、なんかちょうどお似合いな気がします。
なお、『ギリシャ語の時間』には、主人公の女性と一緒に古典ギリシア語の授業を受けている生徒が何人か出て来ます。その中の一人、大学院生はギリシア語をマスターし、ギリシアへ留学して古代医学を勉強するのだそうです。
そのシーン(P.100-P.101)にガレノスの名が出てきます。ちょうど今月下旬に『ガレノス』という本が、あたしの勤務先から刊行されるところです。なにやら、妙なシンクロが晶文社と続いていますが、興味のある方はこちらも是非どうぞ!