他の本と併読しているので、まだ半ばを過ぎたくらいなのですが、『異形の愛』が面白いです。
出版元である河出書房新社は、最近では『サピエンス全史(上)』『サピエンス全史(下)』のヒットがよく知られていますが、海外文学でも注目作品が目白押しです。
この『異形の愛』と、実は密かに相通じるものを感じているのが、『愉楽』と『こびとが打ち上げた小さなボール』という、河出書房新社の海外文学作品です。
三作とも、障害者など差別された存在、虐げられた存在にスポットをあてた作品で、このような作品を続けざまに刊行するとは、きっと同社の編集部は何かを狙っているのだと、あたしは密かに疑っているのです。
そんな河出書房新社ですが、文芸部門だけでなく、人文部門でも『えた非人』という本を刊行していて、あたしの疑いはますます強まっていました。
そして、最近も『賤民にされた人びと』『被差別の民俗学』を刊行しているわけですから、もうビンゴですね。これは人文・文芸両方の編集部が足並みを揃えて刊行しているとしか思えません。
もともと民俗学的な書籍の刊行は盛んな版元だと思っていましたが、どちらかというと風俗的なものがメインだと思い込んでいました。これはきっと何かある、そんな気がしているのあたしだけでしょうか?
それとも目敏い方からは「今ごろ気づいたの?」と言われてしまうような案件だったのでしょうか?