切なくて残酷な……

雨降りの休日、録っておいた映画の鑑賞です。今回はこちらです。

WOWOWでやっていた「恐怖ノ黒電話」です。暴力をふるう夫との離婚調停中の女性があるアパートに引っ越してきます。そのアパートには黒電話が置いてあり、それが突然鳴り出します。出て見るとちょっとおかしな女性からの電話。最初は以前の住人にかけたつもりの間違い電話だと思っていた主人公ですが、何度もかかってくるうちにそれが過去からの電話だと気づかされます。

そして、その電話の女性が行なうことによって現在が変わってしまい、アパートの住人や主人公の恋人も抹殺されてしまいます。そしてついには子供のころの自分に魔の手が伸びていることを知った主人公は、電話に出た幼い頃の自分にその女性を殺すよう指示し難を免れます。

途中までは離婚調停中の暴力夫が仕掛けたいたずらではないかという可能性を持たせながら進みますが,それでは辻褄の合わないことが起こり、過去の行為によって未来が変わるという状況になります。ただ、過去が変わる過去から見た未来であると現在の世界が変わってしまうという設定自体が荒唐無稽なので、ところどころおかしなと言いますか、無理のある進行も感じられます。

結局は精神を病んでいる主人公の妄想というオチになるのかと思いましたが、そうではなく、あくまで過去が未来に影響を及ぼしているというラインは守ったままです。グロテスクなシーンもほとんどなく、心理劇的な面白さは楽しめるのではないでしょうか?

続いての鑑賞作品はこちらです。

七つまでは神のうち」です。神隠しをモチーフにした作品ですが、途中までは時系列が入り組んでいるので、ちょっと理解しづらいところがあります。また神隠しってそんなものなのかもしれませんが、どうしてこの状況でいなくなる、さらわれるのか、理解できないところがあります。

最後の最後に神隠し事件の真相が種明かしされるわけですが、つまりは子供を亡くした両親の復讐劇。そもそもの事件も実に哀しく切ないもので、両親の気持ちも理解できます。ただ、そうなると一連の神隠し事件はこの両親が起こしたことになりますが、どうもおかしな展開もありますし、事件に巻き込まれる方にしても、怪しいことに遭遇した時の人間の行動として理解できないところが多々あります。ちなみに、この両親も死んでいて、どうやら幽霊が一連の犯罪を起こしているようなんですが……

とはいえ、最後まで見終わると、やはりこの作品は哀しくて切なくて、そして残酷です。文庫本ではもう少し結末が異なるようですが、映画のラストは救いがないですね。結局誰一人救われないまま終わります。子供を持つ親が見たら、かなり胸に突き刺さる作品になっていたかもしれませんね。

で、主演の日南響子は映画の中ではトラウマを抱えた女の子を好演していたと思いますが、ブログにアップされている写真などを見ると作品中の人と同一人物とは見えないですね。