期待したような広告効果は果たして出るのでしょうか?

あたしの勤務先で出している諸外国語のシリーズ《エクスプレス》をご存じでしょうか? 四六判の《エクスプレス》というシリーズでスタートし、当時は別売りカセットがすべての言語に用意されていました。点数が増えるにつれ、世の中も移り変わり、カセットからCDへと音源が変化していきました。しかし、CDは頭出しのトラック番号が99までしか設定できず、実は語学学習にはカセットテープよりも使い勝手が悪く、あたしの勤務先でも別売りCDを発売するまで多少の逡巡がありました。

しかし時代の流れに逆らうこともできず、いつのころからか別売りのカセットの他に別売りCDも用意するようになりました。しかし、時代の進み方は更に早く、別売りCDを用意したのは数点で、その後は本にCDを貼り付けた語学書が主流となり、《エクスプレス》もそれに伴って《CDエクスプレス》となり、判型も四六判からA5判になりました。判型の変更は見やすさと、CDを貼り付けなければならないという事情もありました。

この《CDエクスプレス》が浸透し、刊行点数も40点を超えたころ、いまから十年くらい前でしょうか、そろそろシリーズ時代をリニューアルしようと言うことになり、カバーデザインも新たにし、中味も一から書き直した《ニューエクスプレス》の刊行が始まりました。現在では《CDエクスプレス》のほとんどの言語が《ニューエクスプレス》にバージョンアップし、なおかつ《ニューエクスプレス》で初めてラインナップに加わった言語もいくつかあります。

ところで、外国語マニアや書店の諸外国語担当の方には慣れ親しんでいただいている《エクスプレス》シリーズですが、《ニューエクスプレス》になってから、新たに《ニューエクスプレス単語集》というのが発売されているのをご存じでしょうか? 新書判と言いますかポケット版と言いますか、とにかくハンディな、でもちょっとしたミニ辞典としても使えるをコンセプトにスタートしました。が、いま述べたように、本家である《ニューエクスプレス》の知名度に比べ、《ニューエクスプレス単語集》の知名度は必ずしも高いとは言えません。

「どうしたらいいだろうか?」と個人的に考えてみました。しかし、お金はかけられません。で、思いついたのが《ニューエクスプレス》を利用する手です。ご覧ください。これは最近刊行された『ニューエクスプレス チベット語』の裏表紙です。

 

オビには《ニューエクスプレス》のラインナップがずらりと並んでいます。ここのデザインをちょっと工夫して《ニューエクスプレス単語集》も載せるようにしたらどうでしょう? 下の写真は同書の奥付裏広告のページです。ここも《ニューエクスプレス》のラインナップだけで、《単語集》は載っていません。これはもったいないのではないかと思うのです。

読者カードなどを見ていますと、《エクスプレス》の読者は複数の言語を学んでいる、勉強している方が多いようです。趣味で外国語を勉強していらっしゃるようです。ですから、興味のある言葉が目に留まれば、次はそれに手を伸ばすという方が多いと思います。そんなコアな読者に《単語集》も知らしめることができれば、と思うのです。

もちろん、そういう方の多くは既に《単語集》の存在を知っていらっしゃるでしょう。が、案外知らないという方も多いのではないかと思います。なにせ、書店では《ニューエクスプレス》はそれなりに置いていても、《単語集》は置いていないというところが多いですから。

広告を載せないよりは載せた方がよいというのは誰が考えても理解できることだと思います。特に、載せるに当たってお金がかかるわけではありませんから、費用対効果も悪くないはずです。このアイデア、どうでしょう?