人は易きに流れるものか

書店で、宗教や文化史の棚が気になります。

カラー版 神のかたち図鑑』なんて書籍を刊行しているからです。本書以外にも神様や仏様、宗教的なシンボルの事典って意外とたくさん刊行されていて、種類が多いのに驚かされます。やはりビジュアルが大事ですね。

が、こんな本が一緒に並んでいました。

ご利益で見る日本の神様イラスト大図鑑』です。いかにも宝島社の本という感じ、神様のイラストはどれもアニメキャラのようで、イラストに関しては時代考証がされているとはとても思えません。

でも、このジャンルにちょっとだけ興味が芽生えたような入門者には、こういったタイプの本が売れるのでしょうね。日本の文学作品だって、カバー装画が萌えキャラっぽくなっていたりする昨今ですから。

でも、この本が宗教や文化史の棚に並んでいると、ちょっとどころか、かなりの違和感を感じます。

と思っていたら、すぐお隣の哲学・思想の棚にはこんな本がありました。

ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。』です。「京都を舞台にした「実存主義哲学」入門のエンタメ小説」だそうです。

ニーチェとエンタメ? なんだそりゃ? というのが正直な感想ですが、やはりこういう風に敷居を下げ、間口を広げないと、哲学など人文科学に興味を持ってくれる人が減ってしまうという危機感の表われなのでしょうか?

こういった類いの本、あたしは一概に否定するつもりはありませんが、問題はここから専門書とか、いわゆる人文書と呼ばれる書籍に手を伸ばしてくれるような読者がどれくらいいるのか、ということだと思います。こういうのを読んでわかったような気になられたら、それはそれで困ったものだと思うのですが……