ホラーと言うよりはサスペンス?

本日の鑑賞作品はこの二点です。

 

まずは前者。「カエル少年失踪殺人事件」は韓国の作品です。タイトルは牧歌的というか、一見殺人事件を主題としたコメディなのかと主マイしたが、そうではなく重苦しい社会派の作品でした。

あたしは知りませんでしたが、これは実際にあった事件の映画化で、韓国では三大未解決事件と呼ばれているものの一つだそうです。ストーリーは、ある日小学生の5人の男の子が山へカエル採りに出かけたまま行方不明になってしまうというものです。警察の杜撰な捜査のためもあり、5人の行方は杳としてわからず、そこへ左遷されてきたテレビ局のディレクターが、「犯人=子供の親」説を唱える大学教授と一緒になって、失踪児童のある両親を怪しいとにらみ、警察に家宅捜査までさせるほどの騒ぎとなります。結局、そこでは何も見つからず、教授は地位も名声もすべてを失い、ディレクターもうやむやのまま本社へ戻り数年が過ぎます。

台風の雨のため土砂が流れた山中で子供の骨が見つかり、事件は一気に解決かと思われますが、結局子供たちは殺されたということがわかるだけで犯人にはたどり着けません。しかし、ディレクターは小さな痕跡から犯人とおぼしき塗擦業者の男にたどり着くのですが、決定打に欠け事件はそのまま時効となりました。

実際の未解決事件が下敷きになっているので、映画の中で勝手に犯人逮捕ができないのは理解できますが、この映画のように、かなり疑わしい人物にまで迫っていたのでしょうか? そして映画の中の塗擦業者は真犯人だったのでしょうか? そういった消化不良感が残る作品です。

そして、前半の大学教授の推理、そしてその推理のせいで家庭を壊される被害者家族など、かなり重いテーマにもかかわらず、いかんせん、人物の描写に深みが足りないので、いま一歩という憾みが残ります。むしろ、被害者家族がさらなる被害に遭うという方にテーマを絞った方がよかったのかもしれません。

その次の作品は「トゥルース or デア 密室デスゲーム」です。これ、邦題には「密室」とありますが、全然密室ではありません。密室での完全犯罪とか、極限状態での恐怖体験とか、そういうものを期待してみると、やや肩透かしです。

卒業間近のパーティーでクラスメートのからかわれた少年。その少年から卒業後数ヶ月してバースデーパーティーへの招待状が届きます。招かれたのは卒業パーティーで少年をからかった男女合わせて五人。少年の実家は大金持ちで、森の中の広大な敷地を持つ家に招かれたのでした(ただし、舞台は母屋である大邸宅ではなく、森の中の管理人小屋)。

実はこの五人を招待したのは少年ではなく、その兄。少年がからかわれたことを気に病み自殺してしまい、その復讐を遂げようと5人を呼び出し監禁し、弟の死の真相を突き止めようというものです。

と、こう書いてしまうと、犯罪を犯しているとはいえ兄の方に同情してしまいそうですが、卒業パーティーでの一件も、「そんなことで自殺するか?」という程度のもので、卒業を前にしたパーティーであれば、あのくらいの悪ふざけはありがちではないかと思われます。むしろ兄の方が逆恨みしているように感じます。まあ、旧家、名家の誇りというのは庶民には理解できませんが。

で、殺されてしまう仲間もいますが、5人のうち二人はなんとか助かります。形勢逆転して、兄を柱に括り付け、パーティーで何があったかを兄に教えます。この真実を知ってしまうと、今度は逆に「やっぱり兄が恨むのもわかる」という気にさせられます。むしろ、生き延びた2人には、「お前ら殺されてしかるべきだろう」という思いがわいてきました。

結局のところ、登場人物のどれもが中途半端に悪人であり善人なので見終わってすっきりしませんが、世の中とはこういうものなのかもしれません。