街の本屋さん

セブンネットショッピングで人文会フェア開催中です。とりあえずは「哲学・思想・心理」のフェアですが、この後、歴史や宗教なども続く予定です。乞うご期待!

で、セブンネットショッピングって、つまりはセブンイレブンのネットショップなわけで、セブン&アイ・ホールディングスが一緒になって、「オムニ7」として大々的に展開している感じです。ですから、セブンイレブンのネットと思う人もいれば、イトーヨーカドーのネットスーパーだと思っている人もいるのではないでしょうか? トップページのメニューをアカチャンホンポロフトデニーズもありますから、切り口によって表情が異なりますね。

さて、そんなセブンネットショッピングが人文会のフェアをやっているとはどういうことか? いや、そもそも人文会のフェアだけでなく、かなりたくさんのフェアをやっているのがわかります。ラノベや書評のフェアの売り上げがよいみたいですね。残念ながら人文会フェアはまだ地味で、浸透していないのでしょうか?

しかし、考えてみると、これは予想された結果だと思います。そもそも人文書を買うお客さんって、アマゾンを含めたネット書店を使うよりも紀伊國屋書店とかジュンク堂書店など、リアル書店を使う人の方が多いはずです。いや、そんなナショナルチェーンでなくとも、地元の老舗書店で買ってくれているお客様が多かったのです。

そして、少しずつ変わってきているとはいえ、やはり年齢層は高め、ネットでの買い物にはあまり慣れていない方が多いというのも、当たらずといえども遠からずではないでしょうか? だからネットで人文書、専門書を扱ったって売れやしないのは火を見るよりも明らかなのです。

でも、その一方で、街から本屋がどんどん消えていくという現実もあります。それによって、これまで人文書を買ってくれていた人が本を買わなくなってしまう、という現象は統計があるわけではありませんが、実際に起こっていると思われます。そういうお客さんたち、全員とは言いませんが、かなりの高確率で近所に本屋があれば本を買ってくれるはずです。

しかし、近所にある本屋はコミックや雑誌ばかり、そういうお客さんの需要に耐える品揃えではありません。やや大きな店舗でも、その傾向はありますから、たまに東京に来たときに大きな本屋によって本を買うという声も聞くくらいです。ここが、アマゾンの付け入る隙なのでしょう。

が、セブンイレブンが本気で本を売り出したらどうなるでしょうか? 確かに、セブンイレブン店頭に人文書を並べるスペースはないでしょうし、並べても売れないでしょう。でも、セブンイレブンで気軽に本が注文できるとなったら、アマゾンにとってはかなりの脅威になるのではないでしょうか?

昨今は公共料金の支払い、ちょっとしたお総菜の購入など、お年寄りでも気軽にコンビニを利用している時代です。また女性も宅配で自宅に届くよりは、防犯上も自分で近所のコンビニへ取りに行く方を選ぶ傾向があると聞きます。うーん、お年寄りにも気軽に使ってもらえる、若い女性も利用するというのはアマゾンにとってはものすごい驚異だと思います。

では、セブンイレブンが、否、セブンイレブンに限定せず広くコンビニが、街の本屋さんとして認知してもらうには何が足りないのでしょうか? それは「コンビニで本が買える」ということが知れ渡っていないことではないでしょうか? 確かに、大型書店のように実際にその本を手に取って中身を確認して買うとか、並んでいる本のカバーを見て気に入った、オビの文句に惹かれた、というのはできないでしょうが、「コンビニでも本が買えるんだ」と認知してもらうためには、まだまだいろいろとやれることがあると思います。

コンビニと一緒になった本屋と言えば、既にフタバ図書が展開しているようですが、やはりある程度の面積と周辺人口が鍵になると思います。そうではなく、いまやコンビニが片田舎にまで出店している状況を考えると、そういう立地のコンビニすら本屋だと認知してもらえるようなキャンペーンが必要なのではないでしょうか?

そう言えば、苛酷な勤務状況が問題となったことがありましたが、各地で街の酒屋が廃業し、そのままコンビニに代わっていった時期がありました。こんな感じで街の本屋がコンビニに代わるということもありなのかもしれません。難しい問題が山積していますが、将来性はあるのではないか、そう思いますし、コンビニが本気で本屋になるのを恐れているのはアマゾンなのではないかと思います。